排水設備のお手入れポイント
自分の住まいの排水設備について理解しておく
住まいの敷地内の排水は、汚水(し尿など)、雑排水(キッチンや浴室などからの排水)、雨水の3つに大別されます。これらの処理方法も、公共下水道が完備された地域における直流方式と、各戸に浄化槽を設ける方式に分かれます。
自分の住まいがどの処理方法を採用しているかについて、管轄の自治体の事業所または水道局で確認し理解しておきましょう。調べても分からない場合は、遠慮なく当社にご相談ください。
目に見える場所はこまめに、確認しづらい場所は定期的に
キッチンや浴室、洗面室の排水口など、日頃使うたびに目に見える場所はこまめに掃除し、いつも清潔にしておきましょう。
一方、外から目では確認しづらい排水管などは、定期的に掃除する日をあらかじめ決めておき、カレンダーに書き込んでおきましょう。
ケース別お手入れ事例
排水口・排水管のお手入れ
排水管内に排水中の脂肪分などが付着することにより排水の流れが妨げられます。また、異物が入ると、ゴミ、毛髪、糸クズなどがからみ、つまりの原因になります。
- 起こりうる不具合
- 悪臭、つまり、水漏れ
日常のお手入れ
- 日頃から、キッチンの流し台や浴室の排水口に、毛髪やゴミが引っ掛かっていたらこまめに取り除き、周辺もきれいにしておきましょう。
- 市販の排水口専用のネットなどを置いておくことも、排水管に異物を流さないためには効果的ですし、フライパンなどの油はキッチンペーパーなどで拭き取り、できるだけ排水口から流さないよう気を付けましょう。
- キッチンや浴室・洗面所の排水管は、月に1回程度、脂肪分を落とすのに有効な市販の排水パイプ洗浄剤を使用して掃除しましょう。放っておくと詰まりや悪臭の原因になります。
点検のチェックポイント
- 水まわり部の床下は、水漏れするケースが多いので、給水管と共に定期的に床下点検することをオススメします。
点検のチェックポイント
排水管には、トラップ(封水)という、排水管内に水を溜める部分をつくることにより管内の臭気を遮断するしくみが採用されています。
- 起こりうる不具合
- 悪臭、つまり、水漏れ
日常のお手入れ
- 排水トラップには、その用途に応じていくつかの種類がありますが、住宅で一般に使用されているものは椀型トラップ(ワントラップ)、管型トラップ(Pトラップ、Sトラップ)などであり、封水の深さは5~10cm程度です。
- トイレや浴室の床、洗濯機置き場の排水口など、水が流れる頻度が少ないと封水が蒸発し、悪臭の遮断ができなくなります。時々、排水口に水を流し込み封水を確保しましょう。
椀型トラップ
- 浴室や洗濯機置き場の排水口がこれに該当します。週に1回は、目皿から椀を取り外して掃除しましょう。
管トラップ
- 排水方法により、S型(床排水)またはP型(壁排水)などがあります。洗面化粧台やキッチンシンクの下などのSトラップは、ナット締めか差込式になっています。
- 水漏れの際には、まずナットをモンキーレンチなどで締め直してください。締め直しても水漏れが止まらない場合は、下にバケツを受け、ナットをゆるめてパイプをはずし、新しいパッキングと交換してください。ナットのネジ山がすり減っている場合は、テープを巻いてナットを締め直してください。
■家庭内の主な排水トラップ
排水ますのお手入れ
屋外排水の合流点・分岐点などに設けられ、一時的に排水を貯溜し流量の調整をするものです。
- 起こりうる不具合
- 沈下、つまり、凍上(寒冷地の場合)、 庭木の根侵入
日常のお手入れ
- 排水マスは、塀の設置、庭土の盛土、植木によるものや環境(地震、地盤凍結によるマスの凍上、地盤沈下)などにより損傷が発生する可能性がありますので、日頃から注意することが大切です。
- 排水ますも汚水・雑排水・雨水用の3つがあります。
- なかでも雑排水マスは、もっとも汚れやすいので、半年に1回程度は、ふたを開けゴミなどの異物を取り除き、台所や浴室などから水を流して汚泥を掃除することを心掛けましょう。
主なますの種類
- インバートマス
- 汚水用マスで、流れをスムースにできる溝が底部についています。
- ためます
- 主に、雨水(雨どい、庭などからの排水)処理に用いられます。底が泥だめになっており、底に土砂やゴミを沈殿させるしくみになっていますので、月に1回は排水溝と併せてますの掃除を行いましょう。
- トラップマス
- ためますにトラップの機能を与えたもので、キッチンなどの排水処理に用いられます。月に1回はパイプの口とマスの内部を掃除しましょう。
点検のチェックポイント
- 塀の設置や庭土の盛土、植木などで損傷が起きることがあります。木の根や土が排水マスの中に入り込んでいないか点検してください。
浄化槽のお手入れ
浄化槽は、微生物の自然浄化力を巧みに利用して汚水を分解する装置です。
(地域によっては、家庭用合併処理浄化槽の物件もあります。)
- 起こりうる不具合
- 悪臭、汚水流出
日常のお手入れ
- 便器や風呂の掃除の際、塩酸などの劇薬は強力な洗浄剤などを使うと浄化槽内の微生物が死滅してしまいますので、絶対に使わないようにしてください。
【ご注意】
- 浄化槽は定期的な保守点検と年1、2回の専門業者による清掃が必要です。
- 家庭用合併処理浄化槽は、一般に嫌気性微生物と好気性微生物を利用して汚水を処理するタイプのものが普及しています。特に好気性微生物を利用する接触ばっき槽は、送風機によって空気を送り込んでいますので、電源を切ってしまうと槽内の微生物が死滅し機能が低下してしまいます。
- キッチンから出る調理クズ、残飯、天ぷら油などは流さないようにしてください。
- 浄化槽上部のマンホールのふたは、ずれたり外れたりすると大変危険ですので、きちんと閉めてロックしてください。特にお子様には気を付けてください。
- 消毒液は切れないように定期的に補給してください。
ワンポイントアドバイス
「水回り・給水設備」のワンポイントアドバイスでも触れましたが、引き続き給排水についてのお手入れ方法でした。
最後にもうひとつワンポイント。
乾燥機付きの全自動洗濯機のお手入れについて、乾燥機を使うと糸くず、ホコリがたくさん出ます。これが、洗濯排水の詰まりの原因となっているケースがあります。洗濯後はフィルター掃除と定期的に排水の掃除をしましょう。
実際に排水の詰まりトラブルになる前のお手入れがとても大切になります。
普段からのお掃除、お手入れをこまめにしましょう。