#047#047東京、温泉こもごも。
前野原温泉 さやの湯処

都内在住の方が温泉に行くとなれば、箱根や伊豆、草津まで足を伸ばさなければならなかったのも今は昔。近年はこの23区内にも、天然温泉を楽しめるスポットが随分と増えました。そのひとつが、板橋区の住宅地に佇む日帰り温泉施設「前野原温泉 さやの湯処」です。

スタッフの横田さんによれば、東京は意外にも温泉が出やすい土地なのだとか。
「東京は大昔海の底にあったので、地底にはミネラルを多く含む化石海水を閉じ込めた上総層群が広がっていますから、掘れば温泉が出るのは珍しくないんです。注目していただきたいのは泉質ですね。場所によって効能やお湯の色が微妙に異なるので、その違いを楽しむのも面白いと思います」。

「さやの湯処」の泉質はというと、「塩化物泉という塩分が強い泉質が特徴です」と横田さん。
「塩化物泉は『熱の湯』『温まりの湯』とも呼ばれ、塩の成分が皮膚に膜をつくって汗の蒸発を防いでくれるので、湯冷めしにくく、冷え性の方にぴったりの温泉です。当館の『源泉風呂』は加水をしていない源泉かけ流しのお湯が自慢ですが、塩分が強く湯あたりしやすいので、長湯に気をつけてお楽しみください」。

そして横田さんが「天下の授かりもの」と語るのが「さやの湯処」の湯色です。
「塩化物泉は無色透明か、鉄分との反応で茶褐色になることが多いのですが、当館は全国的にも珍しいうぐいす色のにごり湯が自慢です。もともとは茶褐色だったのが、徐々に変化して現在のうぐいす色になりました。泉質も湯色も天然のものなので、こればかりは掘ってみないとわからない。まさに大地の恵みそのものなんです」。
温泉でゆっくりと温まった後に満喫してほしいのが、昔ながらの古民家を改装した食事処をはじめとする、「さやの湯処」の空間そのもの。

「当社の創業者が1946年に建てた邸宅を2005年に再生し、『さやの湯処』が誕生しました。館内の至るところから四季折々の日本庭園を望めますし、古民家の面影もそこかしこに残されていますので、湯上がりはぜひこの空間でのんびりと過ごしていただきたいと思います。当館では、テレビや新聞、雑誌などはあえて置いていないんです。庭を眺めるもよし、読書をするもよし、何もせずボーッとするもよし、しばし日常を忘れて思い思いのひとときをお楽しみください」。
最近は、都内の湯めぐりをしながら、御朱印ならぬ「御湯印」を集めている方も増えているそうです。
近場の日帰り温泉で、気軽に癒しの時間を楽しんでみませんか。

泉質で楽しむ東京の温泉
日本の温泉の泉質は環境省によって10種類に分類され、それぞれに適応症(温泉療養に適した症状)が定められています。ここでは、東京に湧く温泉の代表的な泉質をご紹介します。

塩分が皮膚をコーティングして保温・保湿効果を高めてくれます。殺菌効果もあるため切り傷ややけどなどにもよいとされます。
- 前野原温泉 さやの湯処(板橋区)
- 大江戸温泉物語 浦安万華郷(浦安市)
- 豊島園 庭の湯(練馬区) など

皮膚を柔らかくして角質や汚れを落としてくれる効果があり、入浴後は肌がなめらかになるので「美肌の湯」ともいわれます。
- 蒲田黒湯温泉(大田区)
- 天然温泉ロテン・ガーデン(町田市)
- スパジアムジャポン(東久留米市) など

天然の保湿成分「メタケイ酸」が肌のバリア機能を高めてくれます。化粧水のように肌をしっとりさせてくれる、もうひとつの「美肌の湯」。
- 中野寿湯温泉(中野区)
- 代田橋温泉 湯の楽(杉並区)
- 調布弁天湯(調布市) など

硫黄の独特な香りとにごり湯が特徴。殺菌効果が高くアトピーや湿疹に効くほか、高血圧や高コレステロール血症などの生活習慣病にもよいとされます。
- 秋川渓谷 瀬音の湯(あきる野市)など

取材協力:前野原温泉 さやの湯処
築80年近くとなる古民家を改装した建物、趣ある日本庭園など、旅館のような空間で1日中寛ぐことができます。樹々に囲まれた露天風呂は、源泉かけ流しの天然温泉を堪能できる源泉風呂をはじめ、つぼ湯、寝湯など種類も豊富です。
前野原温泉 さやの湯処 公式WEBサイト
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