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#032手に取るたびに、つややかに。

かごや

かごやの手作り竹かごバッグを持つ人。繊細な編み目と伝統的な技術が特徴。

カジュアルからオフィススタイル、和装までどんなシーンにも馴染み、季節を問わず持てるアイテムとして、近年は天然素材のかごバッグが人気です。阿佐ヶ谷にある「かごや」は、やまぶどうの蔓やくるみの樹皮を使った手編みのかごバッグを扱う専門店。店長の阿部さんによれば、手編みかごの始まりは生活道具だったといいます。

かごやの店舗外観。木製の扉と緑豊かな植物が並ぶエントランス。

「やまぶどうが多く生息する東北地方を中心に、雪で外に出られない冬の農閑期に、生活で使うかごやざるなどを編んでいたそうです。今でこそ職人による伝統工芸品として知られていますが、もともとは普通の家庭でつくられる、暮らしに根付いた道具だったんです。それがやがて着物をお召しになる方を中心にバッグとしても持たれるようになり、近年はデザインの幅もぐんと広がって和装・洋装問わず気軽に持たれる方が増えました」。

かごやの店舗内で商品を手に取る店長の阿部さん。壁に飾られた竹かごバッグが並ぶ。
店長の阿部さん

とはいえ、昔も今も、天然素材のかご製品は価格的には高級品。それもそのはず、最も人気のやまぶどうは素材としてとても希少で、かごの完成までには多くの時間と手間がかけられているのです。
「山奥に自生するやまぶどうの蔓の樹皮をはがして材料にするのですが、梅雨の時期にしか樹皮を剥がすことができないので、まず採取できる量が非常に限られています。採取した蔓を一度乾かし、また水に浸して柔らかくしてからひご状に切り揃えて、ようやく編み始めることができます。仕上げまですべて職人の手作業ですから、同じデザインでもひとつひとつ表情が違い、ある意味すべてが一点ものといえます」。

かごやの店舗内のディスプレイ。竹かごバッグが棚に整然と並べられている。

国内では年々職人さんの数が減っておりますます貴重になっているため、多くの方に気軽に使ってもらえるようにと、「かごや」は中国に自社工房を構えて安定した生産を続けているそうです。
「中国にも竹でかごを編む文化がありますので、その職人に編んでもらったり、自社で職人を育てたりして、商品企画から材料の調達・製作まで一貫して行える体制を整えています。同時に国内の職人さんとも提携し、まさに伝統工芸といえる希少な製品も取り扱っています。編み方も、オーソドックスな網代編み以外に花編みや菊編み、透かし編みなどたくさんあり、職人さんの技術の高さを感じていただけると思います」。

かごやの商品ディテールを紹介する複数の画像。手作りの竹かごと職人の手仕事の様子。

そんな風に丁寧につくられたかごバッグの最大の魅力は、使い込むほどに風合いが増すこと。
「はじめは表面がザラっとしているのですが、使ううちにどんどんツヤが出て滑らかになり、色も深いあめ色に変化していきます。手あぶらによってツヤが増すので、とにかくたくさんなでてください。もし取手が折れたり角に穴があいてしまっても、その部分だけ編み直して修理可能なのもかごバッグのいいところ。大切に使えば、一生ものになりますよ」。
ものを育てる、という楽しみを味わってみませんか。

 かごやのシンプルでナチュラルな竹かごバッグ。温かみのある素材感が際立つ。

かごバッグの取り扱い3箇条

#1|使い始めはデリケートな衣類に注意。

新しいかごバッグは表面がザラっとしているので、持っている時に洋服などにひっかかりやすいため注意が必要です。使い込むうちになめらかになりますが、早くなめらかにしたい場合は棕櫚たわしで磨くといいそう。

#2|湿気は大敵。

天然素材のため、湿気の高い場所に置くとカビの原因になってしまいます。使わない時もクローゼットなどにしまいこむのではなく、インテリアの一部として室内の風通しのよいところに飾って保管するのがおすすめ。雨で濡れた時は、しっかり水気を拭き取って乾かせば大丈夫とのこと。

#3|とにかく使うべし。

かごバッグは使わないことには育っていきません。よりツヤツヤ・なめらかな風合いにするためにも、普段から惜しみなく使いましょう。ツヤ出しのためにオイルを塗ったりすると、急に黒ずんでしまうこともあるそうなので要注意。手で触れて愛おしむことが、何よりもかごバッグの魅力を引き立ててくれます。

取材協力:かごや

取材協力:かごや

自社で商品企画を行い、海外の自社工房で製作する一貫体制をとっているほか、国内の職人が編んだ希少な製品も取り扱っています。サイズやデザインが豊富に揃っており、内布を付けるなどのアレンジやオーダーメイドも可能。男性のお客様も少なくなく、ビジネスバッグとして使う方もいるそうです。

かごや

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