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#043素材が生きる、0℃のおいしさ。

天然氷かき氷 けい

30℃超えの猛暑が日常となりつつある日本の夏。そんな気候のせいでしょうか、近年はかき氷ブームが続き、個性豊かな専門店が各地で増えているといいます。
以前本誌でご紹介した武蔵境のチョコレート専門店「ショコラティエ カイト」のオーナー・三浦海斗さんも、昨年高円寺にかき氷専門店「天然氷かき氷 けい」をオープン。ショコラティエが手がけるかき氷とは、一体どんな味わいなのでしょう?早速お店に伺ってみました。

杉並・高円寺にある天然氷かき氷 けいの外観。静かな住宅街に佇むかき氷専門店

住宅地の一角にあるお店のドアを開けると、そこは木のカウンターのみのこぢんまりとした空間。三浦さんは、かき氷の専門店をやろうと思った理由をこう語ってくれました。
「暑い夏でもなんとかチョコレートの魅力を伝えたい、と思ったのがきっかけです。同時に洋菓子のジャンルを超えて新しい挑戦をしてみたくて、かき氷に決めました」。

『天然氷かき氷けい』 の店内。左奥に立つ三浦さんと、カウンターでかき氷を楽しむお客さんの様子

三浦さんがまずこだわったのは、氷選び。お店では、「天然氷」といわれる、真冬の自然の中でじっくりと時間をかけて凍らせる氷を使っているといいます。
「南アルプス・八ヶ岳の天然氷を使っていますが、すぐに削りの奥深さを実感しました。天然氷の場合、氷の温度や向きによっても仕上がりが全く変わってくるんです。削るのに機械を使っているとはいえ、実際は手仕事そのものです」。

『天然氷かき氷けい』 の店内。天然氷かき氷を丁寧に盛り付ける三浦さん

熟練の技で削られた天然氷は、新雪のようにふわふわの食感と口溶けのよさが特徴です。純度が高く、どんな素材をあわせても本来のおいしさを引き出してくれるそうですが、三浦さんのいちおしは、やはりスペシャリテである「カカオ」。
「チョコレートシロップに加えて、カカオの白い果肉の部分を使った生クリームも添えています。カカオの果肉は日本ではまだあまり馴染みがありませんが、カカオの産地ではジュースなどにして飲まれているんですよ。南国のフルーツを思わせる爽やかな酸味があり、チョコレートともマッチしてさっぱりと召し上がっていただけます」。

チョコレートシロップに加えて、カカオの白い果肉の部分を使った生クリームも添えられた天然氷かき氷

ふわりと溶ける氷の冷たい軽やかさに、チョコレートの芳醇な香り、そしてフルーティーなクリームが絶妙に重なり合い、その味わいはかき氷としても、チョコレートスイーツとしてもまさに新体験。三浦さんが手がけるチョコレートと同様に、どこまでも奥行きのあるおいしさを堪能できます。

ふわりと溶ける氷の冷たい軽やかさに、チョコレートの芳醇な香り、そしてフルーティーなクリームが絶妙に重なり合うかき氷

「つくるものが変わっても、シンプルさへのこだわりは変わりません。素材本来のおいしさを引き出して掛け合わせる技や知識は、ショコラティエの強みかなと思います。お客様が本当においしいと感じてくださっているかどうかって、一口目の表情でなんとなくわかるんです。だからこそ、一口食べてシンプルにおいしいと思えるかき氷を目指しています」。
そう想いを語ってくれた三浦さん。シロップに使うフルーツは旬のものだけを厳選しているため、時期や日によってもメニューが次々と変わるのだとか。今後は、ぶどうやシャインマスカットなど秋のフルーツも登場予定とのこと。残暑をしのぐ涼菓としてはもちろん、ショコラティエによるこだわりのスイーツとして、新感覚のおいしさを味わってみませんか。

天然氷かき氷 けい 秋の新メニュー

天然氷かき氷 けい 秋の新メニュー

2025年の秋メニューのトップを飾るのは、昨年も好評だったという「焼きいも」。茨城県産のシルクスイートを使用した焼きいも風味のクリームとキャラメルソースに、アクセントのごま塩をトッピング。氷の中には、なんと白餡も隠れています。香ばしい甘さに程よい塩気も加わった上品な味わいは、まるで和菓子をいただいているよう。こちらのメニューは9月上旬から販売予定。さらに今後は秋のフルーツを使ったメニューも続々と決まるそうですので、暑さも少し和らぎ出かけやすくなった頃に、ぜひ訪れてみてください。

天然氷の魅力

天然氷

かき氷のおいしさの決め手でもある天然氷。機械でつくる氷は四隅から中心に向かって急速に凍るのに対し、天然氷は水面の上から下に向かってゆっくりと数日かけて凍ります。そうすることで、不純物を含まない、硬くて大きな結晶の氷ができあがるのだそう。結晶が大きいため溶けにくいという特徴を活かし、三浦さんがかき氷をつくる際は、冷凍庫から出して最も口溶けがよくなる0℃まで温度を調整してから削っているといいます。天然氷は温暖化の影響もあって製造者が減っており、現在国内に残るのはわずか5件。農産物と同じで生産量に限りも変動もあるため、天然氷をいただけるお店自体がとても貴重なのだそうです。

取材協力:天然氷かき氷 けい

取材協力:天然氷かき氷 けい

メニューはかき氷のみで、「カカオ」のほか季節の国産フルーツを使ったシロップが常時5、6種類揃います。フルーツはすべて非加熱の生シロップに仕上げているため、素材そのままのフレッシュでジューシーなおいしさを堪能できます。毎日氷がなくなり次第閉店となるので、早めの来店がおすすめ。「ショコラティエ カイト」のチョコレートも一部販売しており、お土産に人気だそう。

instagram @kakikori_kei

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