PRODUCED BY GROWING CLUB FROM HOSODA CORPORATION

#026めぐる本、出会う本。

古書コンコ堂

古書コンコ堂 店内

読みたい本があれば、指先ひとつで手元に届く便利な世の中。一方で「何か読もうかな」という時に、気になる本をあれこれ手に取ってみる機会は少なくなったのではないでしょうか。そんな時は、新刊が揃った大型書店もいいですが、街の古書店に足を運んでみてはいかがでしょう。

古書コンコ堂 外観

古書店はなんとなく入りづらいというイメージをお持ちの方にもおすすめなのが、阿佐ヶ谷の商店街の一角に佇む「古書コンコ堂」。お店のコンセプトは、店名の由来にもなっている「玉石混交」。近年は個性溢れるセレクト書店が増えていますが、あえて「セレクトしない」古書店として様々なジャンルの本を揃えているのだそうです。

古書コンコ堂 店内

「一人でやっている店なので、選んでしまうと所詮自分という人間の幅までしか広がらず、つまらないなと思ったんです。誰もがふらりと入りやすい店にしたかったので、ジャンルを絞ることなく、買取ではいろんな本を受け入れています」。
店主の天野智行さんはそう語りますが、店内の棚を眺めてみると文学、アート、音楽、漫画などどのジャンルもとても充実しており、センスと奥深さを感じさせるラインナップとなっています。
「それは阿佐ヶ谷という場所のおかげですね。古くから文化人が多く住んでいた地域で、いわゆる中央線文化も根付いているので、老若男女幅広い世代のお客様が本を持ち込んでくださいます。本の地産地消といいますか、良質な本が街の中で世代を超えて循環している感じなんです」。

古書コンコ堂 店内

店頭で出会える本の幅広さ、奥深さという点では、「古書店に勝るものはありません」と天野さん。
「最近は出版から絶版へのサイクルが早くなっているので、新刊で手に入る本って意外と幅が狭いんです。一方古書店は、これまで出版された本すべてを扱うことができます。僕も何年も店をやりながら、今でも毎日見たことのない本に出会うので本当に飽きません。読書は何か興味のあることができたり、面白い一冊に出会ったりすると、そこから一気に読める本が増えて世界が広がるのが何よりの楽しさだと思います。僕自身は最近クラシック音楽にハマったおかげで、そこからクラシック関連の本がどんどん読めるようになりました。新しい知識を得たり、自分では思いもつかない考えに出会ったり、もちろん純粋な娯楽として楽しむのもまた読書の魅力。当店は数百円の文庫や単行本などもたくさん扱っていますので、少しでも興味が湧く一冊があればぜひ手に取ってみてほしいと思います」。

古書コンコ堂

実際に自分で手に取り、ページをめくることでしか訪れない出会いはきっとあるはず。古書店という小さな空間で、新しい世界の扉が開くかもしれません。

アートにも出会える古書店

佐藤紀子の作品
©︎ 佐藤紀子

店内にはアート関係の本も多く揃う「コンコ堂」ですが、不定期でギャラリーとして様々なアーティストの展示が行われることもあるそう。「もともと僕自身が美術館やギャラリーを巡るのが好きで、アーティストの知り合いもちらほらいたので、ちょうど当店の壁面も空いていることだし、やってみようと思って始めたんです」と天野さん。これまで、佐藤紀子、矢吹純、河合浩、タカダミユキなど、多様なイラストレーターや画家の作品を展示してこられました。本だけでなく、アートから新しいカルチャーに触れることができるのも、「コンコ堂」を訪れる楽しみのひとつになりそうです。

矢吹純の作品
©︎ 矢吹純
タカダミユキの作品
©︎ タカダミユキ

今後の展示予定

  • 2024年5月 rakuya katagiri展
    (Instagram: @rky_ktg
  • 2024年11月 小山維子展
    (Instagram: @yukikooyama_works

日程など詳細は、コンコ堂のSNSでご確認ください。

Instagram: @kosho_konkodo
X: @kosho_konkodo
取材協力: 古書コンコ堂

取材協力: 古書コンコ堂

レコード店や図書館、西荻窪の古書店などで働いてきた天野さんが2011年にオープン。店頭に並ぶ本は、ほぼ持ち込みと出張買取で成り立っているそう。天野さん自身は毎日「息を吸うように」本を読んでいるといい、天野さんの興味や好みを聞きつけたお客様が本を持ち込んでくれることも多いため、「ますますいい循環ができて本棚が充実していくんです」とのこと。

古書コンコ堂

ARTICLE