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#010収納とは心地よさと、向き合うこと。

女性の暮らし研究家 近藤こうこさん

「収納」は、そこに暮らしがある限り誰もが直面する、永遠の課題のひとつと言っても過言ではないでしょう。特に近年は家で過ごす時間が増え、ライフスタイルも大きく変化した中で、収納について何とかしたいと日々頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。そんな方々に向けて、今回お話を聞かせてくださったのは、子育てをしながらも整理収納の専門家として活動する、近藤こうこさん。具体的なお話に移る前に、まず収納に取り組む際に最初にやるべきことを尋ねると、「自分にとって心地よい状態を考えること」と話してくださいました。
「心地よい収納のあり方は、実は人によって全く異なります。取り出しやすさが大事な方、見た目が綺麗じゃないと落ち着かない方、細かい分類は苦手という方、本当に様々です。その心地よさを理解しないまま始めてしまうと、一見どんなに綺麗に整っていても使い勝手が悪く、すぐにリバウンドしてしまいます。収納は、自分が心地よく使い続けられる状態が一番の正解です。自分に合っていれば、収納のやり方自体は何でもいいとさえいえます」。

すっきりと片付いた近藤さん宅のリビングルーム
すっきりと片付いた近藤さん宅のリビングルーム

例えば近藤さんは、衣類を丁寧に“畳む”収納をやめて、だいぶ楽になったのだそう。
「私の場合、服をきちんと畳んで収納すると、毎回丁寧に出し入れしなくてはいけないのがストレスになってしまって(笑)。今は使用頻度の高い服はハンガーにかけて、どうしてもかけられないものや使用頻度の低いものだけを引き出し収納にしています。中でも下着やパジャマはゆるく畳んでポンと入れるだけ。それをキープするには引き出しにゆとりが必要なので、服が増えすぎないよう調整もしています。そんな風に自分の中に軸を持って優先順位を決めながらやると、心地よい状態に近づきやすいですよ」。

「かける収納がメイン」の近藤さんのクローゼット
「かける収納がメイン」の近藤さんのクローゼット
衣類収納の方法も試行錯誤を重ねているそう
衣類収納の方法も試行錯誤を重ねているそう

そして心地よさの軸は、家族でも一人ひとり違うことを意識してほしい、と近藤さん。
「夫婦でも兄弟でも、性格や身長などが違えば当然心地よさも変わるんです。家族それぞれの収納を考える時は、その方の目線の高さや行動に着目しつつ、本人に『どっちが使いやすい?』と相談しながら進めるのがいいと思います。そうしてコミュニケーションを取りながらやっていると、それぞれが自分の心地よさに意識的になって、家全体が少しずつブラッシュアップされていくはずです」。

シンデレラフィットが素晴らしいストック収納
シンデレラフィットが素晴らしいストック収納
大好きな食器コレクション
大好きな食器コレクション

最後に忘れてはならないのが、「定期的な見直し」だそうです。
「人の価値観って思った以上に変わっていくものですし、成長真っ只中の子どもならなおさらです。私自身も、ある時期から急に食器が好きになり集めるようになったので、食器を増やす代わりに他のものを減らすなど、その都度収納のやり方は見直してきました。収納のプロでも一回でベストな状態にたどり着くことは稀なんですよ。失敗もしながら柔軟に向き合っていくことこそ、心地よい収納への近道になると思います」。
収納は、解決すべき課題ではなく、自分のライフスタイルの一部として付き合っていくもの。そんな新鮮な視点を持てば、より楽しみながら心地よい暮らしにたどり着けそうです。

シェルフのそばに立つ近藤さん
リビングルーム

収納を見直す順序とタイミング

クローゼット

収納を見直すにもどこから手を着けたらいいかわからない、という場合、「まずは自分のテリトリー内で使用頻度が高いところから始めるのがおすすめ」と近藤さん。「クローゼットや化粧品まわりなど、自分だけが使う狭いスペースから始めると、達成感を得られ、次のモチベーションにもつながると思います。小さな成功体験を積み重ねながら、徐々に家族のスペース、広いスペースに着手していきましょう」。一通り片付いた後、次に見直すべきタイミングは「使いにくさを感じた時」だそう。「ポイントは、なぜ使いにくいのかを見極めることです。スペースが足りない、物の分類がおかしい、買いすぎている、など原因を見つけてから対処すれば、使いやすい状態に戻せると思います」。

すっきり片付く収納ルール

近藤家のキッチン上収納

近藤さんがおすすめする失敗しにくい収納ルールは、「使用頻度で分ける」というもの。毎日使う物、週 1 回程度の物、めったに使わない物、と分けて収納場所を決めると使いやすくなるといいます。「例えば私はクローゼットでもアイテムごとにざっくり分けた上で、さらに使用頻度によって収納法を変えています。あとはストック物のように毎日使わないものでも、隠しすぎず、何がどれくらいあるか目視できる状態にしておくのもポイントです」。さらに「生活感のあるものは目線より下にまとめると、部屋がすっきり見えますよ」とのこと。様々な収納法を試行錯誤しながら、心地よい空間を目指しましょう。

取材協力:女性の暮らし研究家 近藤こうこさん

取材協力:女性の暮らし研究家 近藤こうこさん

引っ越しを機に大量の断捨離をしたことで整理収納の効果に気づき、こんまり片づけ講座卒業、整理収納アドバイザー 1 級、ライフオーガナイザー 1 級、クローゼットオーガナイザーなどの資格を取得。暮らしのエキスパートとして、企業への企画アドバイス、記事執筆など幅広く活躍されているほか、様々な暮らしのスキルを持つメンバーが集まる「心地よい暮らし研究会」の一員としても活動中。「心地よい暮らし研究会」として著書『みんなの買い物大全 ~今見直したい!食材の買いグセ~』を発売、また『家事の呪縛をとくノート』の監修も手がけています。

ブログ「暮らしの美活」主宰、近藤こうこのホームページ。

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