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#014その温もりをつかまえて。

猫ラボ・吉井たまこさん

猫の置物と戯れる蘭丸

およそ 9500 年前から、人間の暮らしに関わってきたといわれる猫。そのしなやかで予測不能な動きは時に“液体”にたとえられるほどですが、猫は人間より 40 本も骨の数が多く、その独特の骨格や柔らかい筋肉のおかげで自由自在に動けるのだとか。そんな猫の体の造形に魅せられて創作に目覚めたのが、「猫ラボ」こと吉井たまこさん。猫のかわいい動きをなんとか再現したいとつくり始めた羊毛フェルト作品が、猫の一瞬の表情や動きを捉えていると注目を集め、作家として活動するまでに発展したのだそうです。

陶土を用いた猫の作品

「3 匹の猫と暮らしているのですが、表情が人間のようだったり、えっ?という思わぬ格好をしていたり、見ていて全く飽きません。この動きの秘密はどこにあるんだろう?と、自分で形にしながら探っているんです。猫は何度見ても発見があり、今もずっと理想の形を追い続けています」。
羊毛フェルトとオリジナルのグラスアイでつくられた作品たちは、展示会を開けば抽選販売となるほどの人気。しかし制作には非常に手間と時間がかかるため、数をたくさんつくれないのが悩みだったといいます。そこで吉井さんが今新たにチャレンジしているというのが、陶土を用いた作品づくりです。

陶土を用いた猫の作品

「もともと羊毛作品をつくる際も猫の形を確認するために樹脂粘土を使っていて、手軽に造形できる面白さを感じていたので、作品としてつくってみようと思いました。素焼きのような質感を出したくて、今は家庭のオーブンで焼き上げられる陶土を使って制作しています」。

陶土を用いた猫の作品たち

陶土でつくられた猫たちは、思わずコレクションしたくなるような手のひらサイズ。今はひたすらつくり続け、形、色、模様を試行錯誤している段階なのだとか。
「とりあえず 100 体つくってみようと、どんどん新しい子を生み出しています。数がつくれるようになったことで、何体かを組み合わせて飾ってみたり、猫が集団でいるかわいさ、面白さを発見しました」。
そう語る吉井さんの 3 匹の愛猫たちも、それぞれに独自の関係性があり、猫同士の日々のやりとりが何より楽しいといいます。

おもちゃで遊ぶ3匹の猫

「雄猫の蘭丸が先に我が家にやってきて、数日遅れで南天・福の姉妹猫を迎えました。蘭丸は妹たちのことが大好きなんですが、真正面から絡んでいっては姉妹に嫌がられています(笑)。南天は気が強くて、ほしいものは奪ってでも手に入れるタイプ。福はマイペースで、蘭丸と南天がやり合っていても我関せずなのが面白いです。そんな彼らの様子を日々見守っていると、猫たちの関係性も少しずつ変わっていくのだなあと実感します。蘭丸もだいぶ大人になって、姉妹と常に仲良く過ごすのは無理だと諦めたようです(笑)。長い間一緒に暮らしていれば、歳を重ねて時には病気になったり、いろんな変化があるのは人間も猫も同じなんですよね。そうしたゆるやかな変化の中で支え合いながら、今日も皆が元気でいられることに喜びを感じます。猫は私にとって、暮らしのパートナーそのものです」。

猫ラボの猫たち

猫たちとの日常の中から、作品を生み出し続ける吉井さん。今後は、陶土作品の研究を極めて個展なども開いてみたいそうです。
「創作をきっかけに様々な方と交流をもつことができ、世界が大きく広がったのは嬉しい驚きでした。そこに柔らかくて温かい生き物がいる、という満たされた喜びを、作品を通して分かち合えたら幸せですね」。

猫ラボの猫たち

猫ラボさんちの猫たち

蘭丸(♂・9歳1ヶ月)

蘭丸(♂・9 歳 1 ヶ月)
性格はのんびり、おっとり、少々こわがり。来客があると一目散に隠れてしまうので、飼い主以外はなかなか直接お目にかかることができません。南天、福のことが大好きでくっついたり舐めあったりしたいのに、ついしつこくしすぎて孤立しがちに…。けれども最近は大人になり、程よい距離感をつかめてきた様子。

南天(♀・8歳7ヶ月)

南天(♀・8 歳 7 ヶ月)
いわゆる“猫っぽい”性格で、かなりのツンデレ。猫より人間が好きで、自分と人間だけのシチュエーションになると途端に甘えん坊に。そこに他の猫がやってくると、すんとしてクールな猫に戻ります。基本的に「他猫のものも自分のもの」。おもちゃなど気になるものは、たとえ他の子が先に遊んでいても横取りします。

福(♀・8 歳 7 ヶ月)

福(♀・8 歳 7 ヶ月)
マイペースで我が道を行くタイプ。新しいおもちゃなどに興味を示すタイミングや動きのテンポがいつもちょっとズレていて、吉井さん曰く“不思議ちゃん”。趣味はテレビ鑑賞。好きな番組は、天気予報(の指示棒)、球技全般、動物が出てくるもの。サッカーの試合ではつい白熱してボールを追いかけてしまいます。

取材協力:猫ラボ・吉井たまこさん

羊毛フェルトや陶土で猫を制作するアーティスト。愛猫の蘭丸くん、南天、福ちゃんをはじめ、友人や知人の猫、SNS で出会った猫など、様々な猫たちをモデルに制作しているそう。Twitter や Instagram で作品づくりや愛猫たちの日常を発信しており、3 匹のファンも多数。

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Twitter @nekolabo1/Instagram @nekolabo

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