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#004住まいと家族の、心地よい距離。

デザイナー・インテリアライター 土橋 陽子さん

前例のないコロナ禍によって、リモートワークが導入され、家族全員が住まいで時間や空間を共有する機会が圧倒的に多くなりました。
ライフスタイルが大きく変わりつつある中、家族みんなが心地よく暮らしていくためには何が大切なのでしょう。デザイナー・インテリアライターとして多方面で活躍する、土橋陽子さんに伺いました。

テーブルで作業をしているデザイナー・インテリアライター 土橋 陽子さん

「本来住まいは家族にとって絶対安全な“巣”だと思うんです。それはいつの時代でも、きっと変わらないでしょう。でも、その“巣”の中に仕事や学校などの社会生活を持ち込まなくてはならなくなってしまい、戸惑うご家庭も少なくないと思います。その意味では、今こそ住まいを見直す時ともいえます。家族がいちばん心地よい場所として、もう一度住まいを見直す最高のチャンスといえるのかもしれません。
例えば、これまでは家族間でも家にいる時間や過ごす場所が違うことで、うまく機能していたお互いの距離感が崩れてしまい、ストレスを感じている方も多いと思います。そんな時は、まず家族それぞれの“テリトリー”を見直してみてください」。

左:カーテン|右:テーブル

大きな変化でなくても、リビングやダイニングの座る位置を変えるだけでも効果が期待できるとのこと。
「家族間とはいえ、向かい合ったり、背後から見られるような配置は心理的に緊張しやすい状態なんですね。ですから椅子の向きを変えたり、ほんの少しの変化でもだいぶ気分が変わります。ポイントはいつもと視線をずらすこと。そのためにはテーブルを変形や円形のものにするのもおすすめです。中にはお子さんが小さい時から家具の配置を変えていないというご家族も多いと思いますが、実は幼い子どもを見守る家具の配置は、思春期を迎え親離れを始める頃のお子さんには見張られているようで、ストレスになりやすいんです。必要以上に“見ない”ことって、心地よい関係を保つ大きな秘訣だと思います」。

左:キッチンで笑顔のデザイナー・インテリアライター 土橋 陽子さん|右:必要以上に「見えない」配置をされた子供の学習机

家族がそれぞれのテリトリーを確保したら、自分自身が心地よくいられる工夫をすることが大切、と土橋さん。
「欲しかった家具を買ったり、お気に入りの雑貨を置いたり、思い切って壁紙を変えたり、家族が過ごす時間そのものをずらすことは難しくても、自分の見える景色を変えてあげることは意外と簡単で、その効果は決して小さくありません」。
土橋さんの話すように、家族の変化に合わせて住まいを変えていくことは、コロナが流行していなかったとしても、心地よく生活するために、大切な暮らしの工夫なのかもしれません。

お気に入りの雑貨が置かれたキッチン

心地よい家具の選び方

円形のダイニングテーブル

「家族の距離感をはかるのに、家具の役割はとても大きいんです。向かい合う形になる長方形のダイニングテーブルは緊張感を生みやすいため、最近は不定形や流線型のテーブルが注目されています。座る位置の自由度が高く、どこに座っても視線がずれるので、宿題をする子どもの横で仕事を広げるなど、それぞれが異なる過ごし方をしても気になりにくいでしょう。視線をずらすには、椅子の高さを変えてみるのもおすすめ。家具の選び方ひとつで、だいぶ住まいの居心地が変わると思います」。

1 人時間は心の栄養

左:茶室でお茶を嗜む土橋 陽子さん|右:茶室のインテリア

「家族が心地よい関係性を保ち、心豊かに暮らすには、誰にも邪魔されない自分だけの時間を設けることが何より大切だと思います。気になることを調べたりゆっくり思考する時間に充ててもいいですし、ヨガなどの習いごとでリフレッシュタイムにしてもいいでしょう。私自身は趣味で茶道を習っていまして、お茶を点てる時間が何より心を平穏にしてくれます。仕事と家事を両立されている方、育児中の方などは時間の確保が難しいと感じるかもしれませんが、家族で相談して、週に 1 回、1 時間でもいいのでまとまった時間を設けてみてください。きっと心が穏やかに整うはずです」。

取材協力:デザイナー・インテリアライター 土橋 陽子さん

取材協力:デザイナー・インテリアライター 土橋 陽子さん

株式会社イデーに所属し、定番家具の開発やブランドの立ち上げなどに従事。独立後は、様々な企業と協働したデザイン開発やワークショップ主宰、記事の執筆など多方面で活躍されています。子どもが読みたくなるアナログ時計「funpunclock(ふんぷんくろっく)」のデザインを手がけ、2017年にグッドデザイン賞を受賞。誰もが自分らしく、笑顔でいられる暮らしのためのデザインやインテリアを提案しています。

土橋 陽子 公式サイト

撮影場所:浜田山モデルハウス「REAL」

撮影場所:浜田山モデルハウス「REAL」

今回の撮影のため、細田工務店のモデルハウスにお越しくださった土橋さん。「すみずみまで空気が循環していて、木の香りと光に包まれた心地よさが第一印象です。回遊式の動線、玄関のすぐ側にある手洗い場など、家の基本であるハード面の質が高い一方で、壁の色や間接照明といった遊び心も生かされているのが素晴らしいですね」との感想をいただきました。

土橋 陽子 公式サイト

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