住まいの基礎講座

知って安心、住まいの基礎講座

木造住宅に関わる仕事をしていると、「木造住宅は地震に強いの?」という質問を受けることがあります。材料や構造、構法を問わず、住宅の設計にあたっては、地震、風といった外からかかる力や、建物そのものの重さ、また、そこで暮らす人や家具などの重さを支えるための様々な規定があり、それらを満たさない住宅を建てることはできません。 住まいの基礎講座では、建物に作用する力と、木造住宅がそれらをどのように支えているのかについて、全6回にわたってわかりやすく説明していきたいと思います。

  • 第1回 住宅の構造

    構造形式の分類と主な構造部材

    日本には、多様な住宅構法が共存しています。それらは主な構造材料の分類によって、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造に分けることができます。第一回では、住宅構法の種類を簡単に整理し、日本の戸建て住宅の大部分を占める木造軸組構法 (在来構法)について、その構造を見てみることにしましょう。

  • 第2回 建物に作用する力

    鉛直方向の力、水平方向の力

    地上では常に上から下へと力が加わり、私たちはそれを重さとして感じています。着ている衣服や、持っている荷物の重さも感じます。また、向かい風の中を歩いているときには、前方から後方へと力が加わり、私たちはその力に抗おうとします。建物に作用する力にはどのようなものがあり、それらの力は設計の際にどのように考慮されているのでしょう。

  • 第3回 建物の抵抗要素その1

    水平荷重に抵抗する耐力壁

    住宅の性能を決める上で、最も重要な外からの荷重が、水平方向に作用する地震力です。建築基準法においては、最低限満足させなくてはいけない耐震性能が定められ、さらに高い耐震性能については、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の住宅性能表示制度の中で、3段階の性能(耐震等級)が規定されています。在来構法の住宅が、どのようにして地震力や風圧力といった水平荷重に抵抗しているのかを見ていきましょう。

  • 第4回 建物の抵抗要素その2

    水平荷重で柱が抜ける?

    『第三回 建物の抵抗要素その1 -水平荷重に抵抗する耐力壁-』では、建物は地震力や風圧力に対し、バランスよく配置した耐力壁で抵 抗しているとお話ししました。 しかし、いくら丈夫な耐力壁を採用しても、それらが柱や横架材と緊結(部材を留め具などで結合すること)さ れていなければ、耐力壁は力を受け取ることも、また、力を伝えることもできず、荷重に抵抗することができま せん。今回は、『力の伝達』という視点で、建物の抵抗要素を考えてみましょう。

  • 第5回 建物の抵抗要素その3

    壁量計算と筋かいのお話

    ここまで、建物は地震力や風圧力といった水平荷重を受けること(第2回)、水平荷重には鉛直構面の耐力壁で抵抗すること(第3回)、耐力壁の軸組とその周辺部材は緊結しておく必要があること(第4回)などをお話ししてきました。今回は、安全な量の耐力壁を配置する際の考え方と、軸組を強化して耐力要素とする筋かいについて、お話ししたいと思います。

  • 第6回 建物の抵抗要素その4

    すべてを支える床、そして基礎

    建物にかかる鉛直荷重や水平荷重は、柱や梁などの構造部材を通して地盤へと伝わっていきます。つまり、建物を設計するということは、建物にかかる荷重をバランスよく受け止め、きちんと地盤へ伝える構造体を設計するということでもあります。最終回では、耐力壁が有効に働くための床と、建物と地盤をつなぎ、建物にかかる荷重を地盤へと伝える働きを担う基礎についてお話ししたいと思います。