
新築でマイホームを建てる時、木造と鉄骨造どちらの構造がよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
家は古くなればリフォームで部材や設備を取り換えながら住むことができますが、構造を変えることはできません。後悔しないためには、構造の性質や違いを事前に把握しておくことが重要です。
この記事では、木造と鉄骨造の特徴やメリット・デメリットを解説します。家づくりをご検討の方はぜひ最後までご覧ください。
木造と鉄骨造の違いとは?まずは特徴を比較
木造住宅の特徴
木造住宅とは、柱・梁といった主要な構造躯体に木材を使用している住宅を指します。
国土交通省による令和4年度の「建築着工統計」によると、全国の戸建住宅における木造比率は90.9%でした。木造は古より日本の暮らしを支えてきましたが、今なお一番身近な住まいのかたちであることが分かります。
日本の木造住宅で採用される工法は主に「木造軸組工法(在来工法)」と「ツーバイフォー工法」の2種類です。なかでも普及率の高い木造軸組工法は、全国どこへ行っても対応できる施工会社が存在する工法です。新築時だけでなく、リフォームやメンテナンス時にも施工会社を選びやすい特徴があります。
鉄骨造住宅の特徴
鉄骨造住宅は、柱・梁といった主要な構造躯体に鉄骨を使用している住宅を指します。
鉄骨造は、使用する鋼材の厚みによって大きく2種類に分けられます。
・軽量鉄骨造:厚さ6㎜未満の鋼材を使用
・重量鉄骨造:厚さ6㎜以上の鋼材を使用
軽量鉄骨造は一般的な戸建住宅やアパートに、重量鉄骨造は3階建て以上の大規模なビルやマンションの構造として主に用いられます。
戸建住宅の構造として比較するときは多くが軽量鉄骨造であるため、本記事においても軽量鉄骨造を主体に紹介します。
木造と鉄骨造のメリット比較
木造と鉄骨造のメリットを比較していきましょう。
木造のメリット
・比較的コストが安い
・気密・断熱性を上げやすい
・耐火性・耐震性が高い
木造のメリットとしてまず考えられるのは、建築コストが比較的安いという点です。豊富な施工会社や木材の種類を選定できる木造住宅では、価格を下げる工夫をしやすくなります。
また、木は熱伝導率がとても低く、鉄の400~900分の1とされています。熱を伝えにくい性質を持つ木は高い断熱性を発揮し、さらに加工が容易であるために気密性アップのための工事もしやすい傾向にあるのです。
耐火性や耐震性に優れた仕様にできるのも木造住宅のメリットと言えます。木材は一見燃えやすい性質を持ちますが、延焼時には加熱を伝えにくく、鉄よりもはるかに長い間強い強度を維持することが分かっています。さらに、建物の耐震性は等級1~3で示されますが、木造であっても最高等級3の仕様にすることは十分に可能です。
鉄骨造のメリット
・品質が安定しやすい
・シロアリに強い
・耐久性が高く火災保険が安い
鉄骨造に使用される鋼材は、工場で厳格な管理体制のもと生産されます。現場での加工が少なく短期間でくみ上げていくために、職人の技術に関わらず安定した品質を保ちます。また、シロアリ被害の心配がない点もメリットと言えるでしょう。
火災保険料が安くなる点もメリットのひとつです。火災保険の保険料は建物の種別により判定されますが、鉄骨造であれば一般的な木造の3分の2から3分の1程度の費用で加入できます。ただし、木造の場合でも「省令準耐火構造」であれば鉄骨造と同等の保険料になります。木造でも耐火性能をアップして保険料を抑えたいという場合には、省令準耐火構造を選びましょう。
木造と鉄骨造のデメリット比較
次に、それぞれのデメリットを比較していきましょう。
木造のデメリット
・品質にバラつきが生じる可能性がある
・シロアリ対策が必須
・柱や壁が多く必要
木造は鉄骨造に比べ、施工会社や職人の技術に依存するところが大きく、自然素材である木材も個体差があるために品質にバラつきが生じる可能性があります。また、木造においてシロアリは構造をむしばむ天敵です。シロアリに強い材料の採用や防蟻剤の塗布といった対策が欠かせません。
木造では法律で定められた耐震性を確保するために、柱や壁を一定量設置する必要があります。ワンフロアの大空間や壁一面の窓、高く広い吹き抜けなど、木造では実現が難しいプランもあるでしょう。ただし、在来工法であれば自由な設計が叶いやすく、鉄骨造よりもさまざまな間取りやデザインに柔軟に対応できるといった側面もあります。
鉄骨造のデメリット
・比較的コストが高い
・施工できる会社が少ない
・断熱対策が必要
鉄骨造は木造に比べ材料調達のコストが高いため、結果として建築費全体のアップにつながります。
また、全国の施工会社が対応できる木造に比べ、鉄骨造を扱うのはほとんどが有名ハウスメーカーのような大手企業です。リフォームに関しても建築した会社以外には取り扱いが難しい工法です。
さらに、鉄は熱伝導率が非常に高いため、高度な断熱対策が必須です。きちんと対策がされないと、夏暑く、冬寒い家になってしまう可能性が高くなります。
新築住宅におすすめの構造は木造と鉄骨どちら?
木造と鉄骨造の特徴やメリット・デメリットをお伝えしましたが、結局のところどちらの構造がおすすめなのでしょうか。おすすめのタイプを具体的に紹介します。
木造がおすすめのタイプ
・コストを抑えながらバランスのいい家に住みたい
・自分好みの住宅会社選びをしたい
・将来的にリフォームも検討したい
・個性的な間取りを実現したい
上記のような希望がある方は木造をおすすめします。
木造は比較的低いコストでも性能面などで高いパフォーマンスを発揮できる構造です。リフォームやメンテナンスもしやすいため、長期間快適に暮らせる住まいになるでしょう。
鉄骨造がおすすめのタイプ
・防火地域で家を建てたい
・施工会社によって品質を左右されたくない
・希望するハウスメーカーが鉄骨造仕様
防火地域で家を建てる場合には住宅を耐火建築物にする必要がありますが、鉄骨造であれば鋼材に耐火被覆を施すことで対応できます。木造を耐火建築物にするには非常に手間がかかるため、工期やコストがかさみます。また、少しでも品質が安定した住宅に住みたいと考える場合も鉄骨造が有利と言えるでしょう。
まとめ
今回は、木造と鉄骨造の特徴やメリット・デメリットを紹介しました。
両者はそれぞれ違う特性をもち、予算や敷地条件によっても向き不向きは異なります。また、最終的な決め手は「理想の家を建てられるかどうか」という点に尽きます。先に構造を決めるのではなく、まずは家族の理想や現在の悩みを明確にすることから始めましょう。
細田工務店が手掛ける住宅は、設計の自由度が高い木造軸組工法の家です。
さらに、創業当初より「直営責任施工体制」を貫き、設計・施工・管理・アフターメンテナンスまでのすべての工程において専属のスタッフ・技術者によるグループ一貫体制をとっています。細部に至るまで綿密に規定した施工基準書に則って、確認・検査を繰り返しながら丁寧につくりあげていくため、精度の高い住まいが完成します。
また、細田工務店の注文住宅では、5年ごとの点検などをお受けいただくことで、30年間のメンテナンス費用が無料となります。シロアリ対策も、お引渡し後5年ごとの点検を受けていただくことで、同様に30年間長期保証いたします。
さらに、鉄骨と同等の耐火性能をもつ省令準耐火構造が標準仕様です。
どんな構造にするべきかお悩みの方、コストパフォーマンスの良い家を建てたいとお考えの方は、細田工務店までお気軽にご相談ください。
注文住宅の相談をする
1957年新潟県生まれ。
1981年法政大学工学部建築学科卒業、同年(株)細田工務店入社。
主に設計・施工の技術開発に携わり、特に構造設計分野では、後進の指導・育成にも力を注ぎ、「専門的で難しいことを、わかりやすく」を心がけ、多くの著書を記している。