
家づくりを考えるとき、外壁のデザインや⾊選びに⽬が⾏きがちですが、「外壁材の種類」も家の印象や快適さ、そして⻑い⽬で⾒たときの住み⼼地に⼤きな影響を与えます。どんな外壁材を選ぶかによって、家の雰囲気はもちろん、メンテナンスの頻度やコスト、耐久性まで変わってくるのです。
この記事では、代表的な外壁材の種類ごとの特徴やメリット・デメリット、選び⽅のポイントを詳しく解説します。理想の住まいづくりを⽬指す⽅に、後悔しない外壁材選びのヒントをお届けします。
外壁材の主な種類とメリット・デメリット
⽇本の⼾建て住宅で採⽤されている外壁材は、素材ごとに⾒た⽬や性能、価格、メンテナンスの必要性などに違いがあります。
ここでは、代表的な以下7 つの外壁材を1つずつ詳しく紹介します。
・窯業系サイディング
・⾦属系サイディング
・樹脂系サイディング
・⽊質系サイディング
・モルタル
・ALC パネル
・タイル
1.窯業系サイディング
窯業系(ようぎょうけい)サイディングは現在、⽇本の新築住宅でシェア率80%以上を占め(※)、外壁材の主流となっている素材です。セメントに繊維質(パルプやガラス繊維など)を加えて板状に成形し、⾼温で焼き固めてつくられています。
デザインの多様性とコストパフォーマンスが魅⼒ですが、定期的なシーリング補修や塗装が必要です。
ただし、最近では、⾼耐久な塗料によって⻑期間変⾊や⾊褪せが⽬⽴たず、再塗装期間を⼤幅に延⻑できる商品も登場しています。
【メリットと特徴】
【デメリットと注意点】
【細⽥⼯務店のおすすめポイント】
「セルフクリーニング機能付きサイディング」を採⽤すれば、美観を⻑く維持しつつ⽇々のお⼿⼊れもぐっと楽になります。コストパフォーマンスを重視したい⽅やメンテナンスコストを抑えたい⽅に最適です。細⽥⼯務店の分譲住宅では、「セルフクリーニング機能付きサイディング」を全棟採⽤しています。
※参考:⼀般社団法⼈⽇本サッシ協会 統計資料(住宅⽤使⽤状況調査 2024 年3 ⽉版)
2.⾦属系サイディング
⾦属系サイディングは、ガルバリウム鋼板やアルミニウム合⾦などの⾦属を主材料とした外壁材です。軽量でありながら⾼い耐久性を持ち、現代的でスタイリッシュな⾒た⽬の外観をつくれることから、近年⼈気が⾼まっています。
⾦属系サイディングは窯業系サイディングと⽐較検討されることも多い素材ですが、断熱材⼀体型など⾼性能な商品はコストが上がる傾向があり、⼀般的には窯業系よりやや⾼めの価格になります。
【メリットと特徴】
【デメリットと注意点】
【細⽥⼯務店のおすすめポイント】
アウトドアスタイルの規格住宅「BinO」では、ガルバリウム鋼板を使⽤した⾦属系サイディングをおすすめしています。アウトドアスタイルのテイストにぴったりの、耐熱性や耐震性、耐久性に優れた外壁材です。
規格住宅「BinO」について詳しくはこちら
3.樹脂系サイディング
アメリカやカナダなど北⽶の住宅で主流となっている樹脂系サイディングは、塩化ビニール樹脂などを主原料とした外壁材です。⽇本ではまだシェアが低いものの、近年徐々に注⽬度が⾼まっています。
【メリットと特徴】
【デメリットと注意点】
4.⽊質系サイディング
⽊質系外壁は、天然⽊(杉、ヒノキ、レッドシダーなど)や合板を使⽤した外壁材です。⾃然素材ならではの質感・あたたかみを活かしたデザインが特徴で、ナチュラル志向の⽅に⼈気です。持続可能な⽊材を使⽤しているため、環境にやさしい外壁材としても注⽬されています。
【メリットと特徴】
【デメリットと注意点】
5.モルタル
モルタル外壁は、セメント、砂、⽔を混ぜ合わせて建物の外壁に塗る、古くから⽤いられてきた仕上げ⽅法です。左官職⼈の技術によって、刷⽑引きや吹き付けなど多様な表情に仕上がり、⼿仕事ならではの温かみが感じられる質感が魅⼒です。
【メリットと特徴】
【デメリットと注意点】
6.ALC パネル
ALC パネルは、珪⽯、セメント、⽣⽯灰、そして発泡剤としてアルミ粉末などを主原料とする「軽量気泡コンクリート」です。内部に無数の微細な気泡があり、断熱性・防⽕性に優れているのが特徴です。
【メリットと特徴】
【デメリットと注意点】
7.タイル
タイル外壁は、陶器製のタイルを貼り付ける⼯法です。重厚感や⾼級感を演出できる仕上がりとデザインの豊富なバリエーションが魅⼒で、⻑期的に⾒るとメンテナンスの⼿間を抑えられます。
【メリットと特徴】
【デメリットと注意点】
【細⽥⼯務店のおすすめポイント】
質感や美観、耐久性を重視し、ワンランク上の住まいを⽬指す⽅には、タイルの外壁をおすすめしています。⻑期的に住まいの資産価値を維持したいとお考えの⽅に特に適しています。
外壁材を選ぶときに重視したいポイント
外壁材を選ぶ際には、「⾒た⽬」はもちろんのこと、住み⼼地、メンテナンス性、コスト、耐久性といった幅広い観点から検討することが⼤切です。
ここでは、それぞれの項⽬について⽐較表を⽤いてわかりやすく解説していきます。
1.コスト
外壁材の初期費⽤は、その種類によって⼤きく異なります。
費⽤を抑えたい場合には、窯業系サイディングや⾦属系サイディングが選ばれることが多く、⼀⽅で、⾼級感や耐久性を重視する⽅にはタイルやALC パネルが⼈気を集めています。以下の⽐較表を参考に、ご⾃⾝の予算や理想の住まいに適した外壁材を検討しましょう。
外壁材 | 初期コスト相場(1 ㎡あたり) |
---|---|
窯業系サイディング | 4,000〜6,000 円 |
⾦属系サイディング | 5,000〜7,000 円 |
樹脂系サイディング | 7,000〜10,000 円 |
⽊質系サイディング | 6,000〜9,000 円 |
モルタル | 4,000〜8,000 円 |
ALC パネル | 7,000〜15,000 円 |
タイル | 10,000〜50,000 円 |
2.メンテナンス性
外壁材の種類によって、必要となるメンテナンスの内容や頻度は異なります。セルフクリーニング機能を持つ窯業系サイディングや、ほとんどメンテナンスが不要なタイル外壁のような外壁材を選ぶと、将来的なメンテナンスの負担を軽減できます。
⼀⽅、定期的な塗装やシーリングの打ち替えが必要な外壁材を選ぶ際には、その費⽤や時期を把握しておくことが重要です。
初期費⽤だけでなく、⻑期的なメンテナンスにかかる費⽤も考慮して外壁材を選ぶようにしましょう。
外壁材 | 主な内容 | 頻度 | メンテナンスのしやすさ |
---|---|---|---|
窯業系サイディング | シーリング打ち替え、表⾯塗装 | 10〜15年ごと | ⽐較的容易 |
⾦属系サイディング | 錆・傷補修、定期点検 | 10〜15年ごと | 容易〜中程度 |
樹脂系サイディング | ⽬⽴つ汚れ落とし程度 | ほぼ不要 | ⾮常に容易 |
⽊質系サイディング | 防腐・再塗装、シロアリ点検 | 5〜10年ごと | やや⼿間がかかる |
モルタル | ひび割れ補修、再塗装 | 10〜15年ごと | やや⼿間がかかる |
ALC パネル | 表⾯塗装、継ぎ⽬補修 | 10〜15年ごと | 中程度 |
タイル | ⽬地や浮きの点検、⽬地補修 | 10 年以上 | ⾮常に容易 |
3.デザイン性
外壁材は、どんな素材を選ぶかによって、住まいの⾒た⽬の印象が⼤きく変わります。住宅のデザインテーマはもちろん、ご⾃⾝の好みや周辺の景観との調和も考えて選びましょう。例えば、シャープな印象の⾦属系サイディングは都会的でモダンな雰囲気を演出し、⾃然な⾵合いを持つ⽊質系サイディングはあたたかみのある住まいをつくります。
また、同じ素材であっても、⾊や模様によって受ける印象は⼤きく異なるため、実際にサンプルを取り寄せて、⽐較検討することをおすすめします。
外壁材 | バリエーション | 特徴・適した住宅デザイン |
---|---|---|
窯業系サイディング | ⾮常に豊富 | 多様な模様やカラーが選べ、洋⾵・和⾵・現代⾵など幅広い住宅デザインに対応。 |
⾦属系サイディング | 標準〜多い | シャープでモダンな質感。シンプル・インダストリアルテイストの住宅に最適。 |
樹脂系サイディング | 標準 | 明るくカジュアルな雰囲気。軽快な印象の住宅におすすめ。 |
⽊質系サイディング | 標準 | ⾃然素材のぬくもりと優しさ。ナチュラル・北欧⾵など⾃然志向の住宅にマッチ。 |
モルタル | ⾃由度⾼い | 左官仕上げによる独特の質感。南欧⾵・和モダンなど個性的な外観にも対応。 |
ALC パネル | 標準 | フラットでシンプルな印象。モダンデザイン住宅と好相性。 |
タイル | 豊富 | ⾼級感と重厚感のある仕上がり。洋⾵・モダン・重厚なデザイン住宅におすすめ。 |
4.機能性
外壁材は⾒た⽬や質感に違いがあるのはもちろんのこと、快適な暮らしを実現するための機能も備わっています。断熱性、防⾳性、耐⽕性、耐震性など、周辺環境や⽴地条件によって考慮すべきポイントがないかチェックしましょう。
外壁材 | 断熱性 | 防⾳性 | 耐⽕性 | 耐震性 | その他の特⻑ |
---|---|---|---|---|---|
窯業系サイディング | 標準 | 標準 | 標準 | 標準 | セルフクリーニングタイプ有 |
⾦属系サイディング | 商品による | 標準 | 標準 | ⾮常に⾼い | 軽量で建物負担少 |
樹脂系サイディング | 標準 | 標準 | 低め | ⾼い | 塩害地でも安⼼ |
⽊質系サイディング | ⾼い | ⾼い | 低め | 標準 | 調湿性が⾼い |
モルタル | 標準 | 標準 | 標準 | 標準 | ⽐較的耐久性⾼い |
ALC パネル | ⾮常に⾼い | ⾮常に⾼い | ⾮常に⾼い | ⾼い | 軽量・⾼機能 |
タイル | 標準 | 標準 | ⾮常に⾼い | 標準 | 優れた耐久性 |
【⽐較表】外壁材7 種類の特徴まとめ
主なポイントごとに、各種外壁材の特徴を⽐較表にまとめました。どの外壁材にするか迷った際は、以下の表を参考に、ご⾃⾝の価値観やライフスタイルに合った最適な外壁材を選んでみてください。
種類 | 初期費⽤ | 耐久性 | メンテナンス性 | デザイン性 | 機能性 | おすすめポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
窯業系サイディング | ⽐較的安価 | 20〜30年 | 定期的なシーリング補修が必要 | バリエーション豊富 | 標準的 | コスパ良好で幅広いスタイルに対応 |
⾦属系サイディング | 中程度 | 20〜30年 | 汚れや錆に強いが、傷に注意 | スタイリッシュ | ⾼い | 軽量で耐震性、断熱性に優れる |
樹脂系サイディング | 中程度 | 20〜30年 | メンテナンスフリーに近い | シンプル〜カジュアル | 標準的 | 塩害地に強い |
⽊質系サイディング | ⾼め | 10〜20年 | 定期的な防腐・塗装が不可⽋ | ナチュラル | ⾼い | ⽊の温もり、経年変化が楽しめる |
モルタル | 中程度 | 20〜30年 | ひび割れ補修・塗装が定期的に必要 | ⾃由度が⾼い | 標準的 | ⾃由度の⾼い意匠が可能 |
ALC パネル | ⾼め | 30〜40年 | 定期的な塗装が必要 | シンプルモダン | ⾮常に⾼い | 断熱性・防⾳性・耐⽕性に優れる |
タイル | ⾮常に⾼い | 50年以上 | メンテナンスほぼ不要 | ⾼級感、重厚感 | 標準的 | 圧倒的な耐久性と美しさ |
後悔しない外壁材選びで理想の家づくりを実現しよう
外壁材選びは「家の顔」を決めるだけではありません。⻑く快適に住み続けるために、維持やメンテナンスにかかる負担、ご家族の暮らし⽅や将来のライフステージ、そして資産価値視野に⼊れて、総合的に検討することが⼤切です。
迷った場合は、
など、ご家族やご⾃⾝の価値観やライフスタイルをあらためて考えてみましょう。
例えば「⼩さなお⼦様がいるご家庭」「仕事や⼦育てで忙しいご家庭」には、セルフクリーニング機能を持つ窯業系サイディングやタイルなど、⻑期的にコストを抑えられるメンテナンス性の⾼い素材が適しています。
「アウトドアが趣味で、外観にもこだわりたい⽅」や「シャープな印象の家にしたい⽅」には、⾦属系サイディングがおすすめです。
細⽥⼯務店の注⽂住宅モデルハウスである「浜⽥⼭モデルハウス」ではサイディングの外壁を、また、「⼩⾦井モデルハウス」ではタイルの外壁をご覧いただけます。
外壁材選びでお悩みの⽅、ご家族の暮らし⽅や好みに合わせた素材を選びたい⽅は、ぜひお気軽に細⽥⼯務店にご相談ください。