すみここちレポート

# 008生まれ変わりを待つ間。

青梅市S様邸1993年竣工

街を選び、土地を探し、理想の住まいを考える。注文住宅を建てる魅力とは、住まうご家族の想いをカタチにできるところにあるのではないでしょうか。そして住まいは建てて終わりではありません。住みこなし、手を入れながら育てていく。その先には、新たな住まいへの建替えや、親から子へと受け継がれていく物語が広がっています。

Sさんが現在の土地を取得されたのは今から30年近くも前のこと。バブル景気の中にあり、理想の土地を見つけるのは難しい時代でした。
「この土地にもたくさんの申込があって、運良く抽選に当たったんですよ。家を建てたのは約25年前になります。少し間が空きましたが、自分にとっての理想のタイミングはそこだったんです。起業した事業も波に乗り、今しかないという時でした」。最寄りの駅から徒歩10分ほど。青梅街道から一歩入った閑静な住宅街。戸建て住宅が多く、空の広さが印象的な場所に、約60坪という恵まれた敷地。小学校にも近く、1分も歩けば遊具も充実した公園があり、戸建ての立地としてはもちろん、子育てをする上でも理想的と言える環境と穏やかさがあります。

「当時は仕事も忙しい時期で、家はほっと落ち着ける木の家がいいなと、木造家屋を得意とする工務店をいくつか検討している中で出会ったのがこの家です。立川にあった細田工務店のモデルハウスを気に入って、ほとんどそのまま建ててもらったんですよ。ただ、引越した時には長男は高校生で、次男は中学生でしたから、もしかしたら二人にとっての住まいの記憶は、賃貸の頃の方が印象深いかもしれませんね」。お子さんの近況を伺うと「二人とも独立し家族を持って、この近くに暮らしています。特に長男夫婦は共働きで、主人の会社の社屋で別の事業を始めていますし、歩いて行ける距離に住んでいますから、週に2日は孫を預かっているんですよ」とうれしそうにお話されながら、お孫さんのアルバムを開く奥さま。菜園を楽しまれているというお庭と、それに面するリビングには緑があり、明るい陽の光が温かく包んでくれる。心地良さげに横になる愛犬の様子が印象的です。

建築から約25年経ったSさんのお宅では、現在「つい最近までは思いもよらなかった」という建替え計画が進められています。
「まだまだ暮らせる家ですし、建物の不具合もないのですが、また細田工務店さんにお願いして、今度は二世帯住宅にする予定なんです。長男の家族と同居することになったんですよ。長男家族がこれからの人生を送る上でも、ここは理想的な環境だったのだと思います」と笑顔で話すご主人。受け継がれていく土地と、生まれ変わる住まい。新たに始まる人生へと向かう清々しさが、澄み切った青空に表れているようでした。