すみここちレポート

# 004住みつづける魅力。

杉並区T様邸1978年竣工

吉祥寺にもほど近い、杉並区の住宅地にそのお宅はありました。よく剪定された庭の木々と、永い年月を感じさせる柱や板の間、扉の木の趣。隅々まで掃除の行き届いた様子が、ひと目でわかり、丁寧に住まれていることを感じさせます。

Tさんがこの家を購入されたのは、もう40年近くも前のことです。「細田工務店さんとは永いお付き合いになりました」と話されるように、ライフスタイルの変化に合わせてのリフォームや、定期的なメンテナンスを欠かしたことは無いのだとか。「他の工務店さんに頼んだこともあるんだけど、やっぱり建ててくれたところの方が、この家をわかっているし、私の好みもわかってくれるから」とのこと。

そうして大切に住まわれてきたお宅は、40年の間に様々な変化を経てきました。納戸を子ども部屋に改装したり、床暖房の設置やキッチンの取り替え、バスルームのバリアフリー化など、新しい設備も多く取り入れられています。Tさんの暮らし方のポイントは「とにかくストレスを溜めない」ことだそう。「どんなに新しい家に住んだとしても、暮らしていれば、ここがこうだったら良いのにというところはあるものです。だからこそ、それを直したり、変えたりしながら“住み込んでいく”ことが大切なんだと思いますよ。そして、永く使うには土台が良くないと駄目ですよね。良い物は古くなっても土台がしっかりしているから、新しいものを買うくらいなら、慣れたものを直した方がいいという具合に、自然と使い続けたくなるものなんです。」

Tさんのお宅には、ご両親が使い続けていたダイニングテーブルや、張り替えながら30年使い込んできたソファ、英国のアンティーク家具などが自然と生活に溶け込んでいます。昨今の量産型の家具では、買い替えが当たり前のようですが、Tさんのお話からは、良い物をリフォームしながら使い続ける魅力を感じました。

そしてもう一つ大切なことと話していただいたのは、良い職人さんとの出会いだとか。「この家に手を入れてくれている職人さんはみなさん良い方ばかりなんですよ。作業を拝見していても気持ちいいくらい手際がいいし、この庭の木にかかっている鳥箱も、庭師さんが作ってくれた物なんですよ。」取材でお伺いした短い時間の間にもスズメやメジロなどが入れ替わるように立ち寄っていきます。
「ご近所では建替えをされたお宅も多いですが、ウチはまだまだこの家で暮らしていきたいと思います。私だけでなく、子どもたちにとってもこの家は、愛着のある家ですから、いつまでもホッとできる、帰りたくなる場所でありたいですからね」。