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東京都杉並区
O様邸
杉並の静かな住宅地に建つ、築35年の木造住宅。20年ほど前、交通の便もよく、日常の買い物にも便利な立地を気に入られたO様ご夫婦は、当時築15年で売り出されていたグルニエのある、このお住まいをご購入になりました。そのお住まいにもそろそろ傷みが目立ち始めたこと、そしてご夫婦がこの先のライフステージの変化に合わせてお住まいを整えたいとお考えになったことから、今回のリフォームが始まりました。
「この住まいは、環境のよい場所だったことと、30代だった当時に手の届く価格だったことから、購入を決めました。その時には、将来の暮らしについての具体的な計画などはありませんでしたが、年を重ねていく中で、50代半ば頃には住み替えか建替えかリフォームをしようと考えるようになりました」と奥さまはおっしゃいます。「わたしたちが50代半ばになる頃、この住まいは築30年を超えて手を入れる必要が生じてくる時期になります。そのくらいの年齢になると自分たちの老後の様子も見えてきますし、ローンも含めた資金計画、資金調達もしやすくなります。そして、今は元気な親も、しばらくすると介護の必要が出てくるかもしれません。親の介護が大変な時期に、傷みや暮らしにくさが目立つ住まいに不安を抱えたまま暮らしていくことは、精神的な負担が大きくなるのではないかと考えたんです」と、その理由をお話しくださいました。
そのようなイメージをお持ちだったO様のお住まいは、2019年10月の令和元年東日本台風で屋根の棟がめくれてしまう被害を受けてしまいます。O様は、その際の修繕工事は必要最低限にとどめ、年が明けた頃から、お住まいについての具体的なご検討を始めることにしたのだそうです。「最初に行ったことは、10年後はこう暮らしたい、20年後はこう暮らしたい、退職後にはこんなふうに暮らしたいという、未来の暮らしの計画でした。そして、そのために住まいをどうしておきたいかを考え、書き出していきました」と奥さま。漠然とお考えだった別の場所への住み替えは、20年間慣れ親しんだこの場所の住み心地のよさから選択肢から外し、建替えではなくリフォームを選択されたことについては、工事費や将来必要になるメンテナンス費用などを考慮してお決めになったということです。新しいお住まいについては「今現在、また将来的に、様々な面から危険や不安を感じるものはそれを解消して、住まいとしての性能をしっかりしたものにしておきたいというのが一番の希望でした。古くなって傷んできた屋根や外観はひと通りきれいにすること、地震に対する不安や雨漏りの不安も解消しておくこと、全体の断熱性をよくしておくことなどをリストに入れていきました」とお話しくださいました。
O様と細田カスタマーサポートとのご縁は、2019年10月の台風被害による屋根の修繕工事をご依頼いただいた際に始まりました。「今回のリフォームについては、2~3社のプランと金額を比較して工事を依頼する会社を決めたいと考えていたので、屋根の修繕工事でお世話になったこともあり細田さんへも声をかけさせていただきました。各社へは、作成した10年後、20年後、退職後の暮らしの計画と、現状から改善したいことなどをまとめたものをお渡しして、同じ条件でプランと見積もりをお願いしました。細田さんに決めた一番の理由は、提案していただいたプランが良かったことです。大きく手を加えるところと、今のまま残すところのメリハリがあり、見積もり金額もこちらの予算とぴったりでした。なにより、わたしたちがリフォームに期待していた『将来も安心して暮らせる住まい』という部分を一番汲んでくれたプランだと感じました」と、奥さま。今回工事を担当させていただいた、細田工務店『家と暮らしの相談所』はO様邸からも近く、なにかあった時には電話一本ですぐに駆けつけてくれるという安心感も、お選びいただいた理由のひとつだとおっしゃいます。
現状から改善したいこととしてO様が上位に挙げていらっしゃったのが、階段勾配のキツさと家の中の寒さでした。そこで、玄関ホールにあった階段の上り口をリビングの中に移動してリビングイン階段とし、段数を1段増やすことで蹴上高さを低くして急な勾配を解消すると同時に、2階の寝室と1階のLDK・トイレをつなぐ動線が短くなるプランをご提案しました。「寝室とトイレが近くなるこの階段のプランが、お願いしようと考えた大きなポイントでした」と奥さま。断熱については、布基礎だった床下一面にコンクリートを敷設して断熱材を装填することで足元からの冷えを解消し、壁についても断熱材を入れ、二重サッシや断熱サッシを採用するなどして、断熱性能を上げました。また、強度に不安を感じていらっしゃったLDKのコーナー出窓は撤去して、壁をはさんだふたつの窓とし、雨漏りが心配だとおっしゃるバルコニーも撤去して、屋根は全体をカバー工法で新しく仕上げました。「リフォーム後は住まいの中がとても暖かくなり、エアコンの設定温度も低くてすむようになりました。ランニングコストやメンテナンスコストは最低限で済むようにと、建物自体の性能を上げる部分に費用をかけたことは正解でした」とお話しくださいました。
近隣とのバランスを考え、外壁の塗装はこれまでとほぼ同じ色をお選びになりました。玄関ドアは新しくして、玄関の上にあった2階バルコニーを撤去、屋根はカバー工法できれいになりました。建付けが悪くなっていた門扉は撤去しました。
玄関横には、EV充電用屋外コンセントを設置しています。
ダークブラウンだった玄関扉をライトブラウンにしたことで、玄関ホールが明るい印象になりました。
以前は玄関を入って左手に階段の上り口がありました。今回、リビングイン階段に変更したため、かつて階段上り口があった場所には玄関用収納ボックスを設置しました。
リビングイン階段を新設したLDK。奥には洗面・浴室・トイレに続くドアと、洗濯機置き場のドアがあります。簡単なものをかけられるように、洗濯機置き場の前には室内物干しを設置しています。
L型だったキッチンは、I型に変更しました。奥さまが「最初は白にしようと思っていましたが、殺風景になりそうだったのでさわやかなこの色を選びました」とおっしゃる淡いペパーミントグリーンの扉が、LDKのアクセントになっています。「以前はキッチン部分の床がLDより一段下がっていてホコリがたまりやすく、掃除もしづらかったのですが、段差をなくしたことで掃除も移動も、とても楽になりました」と奥さま。
「シンク下のキャビネットは、開閉時に大きく動かなくていいように小さい割付のものを選びました」と奥さま。手元照明は、奥さまがブラケットライトをお選びになりました。
シンク前の縦長の窓は窓枠を塗り替えています。以前のお住まいでは、この窓の右下にガスコンロが設置されていました。
右手に見える出窓の枠は塗装しなおしています。以前はこの出窓の前にシンクのあるL型のキッチンでした。「キッチンのスペースは広くないので、L型よりもI型のほうが使いやすいのではないかと考えI型にしました。とても使いやすいキッチンになりました」と奥さま。
以前、ここにはコーナー出窓がありました。「強度的にも不安でしたし、お隣とも近く、窓ガラスが透明だったのでプライバシーが気になることもありました」と奥さま。壁を入れて、窓をふたつに分け、曇りガラスの断熱サッシを設置しました。「出窓に物を置いていたので狭くなるかと思いましたが、スッキリした分、広くなったと感じます」とおっしゃいます。
ロールスクリーンですっきりした印象です。窓上部の収納は特注加工で天井までぴったりに収めました。「割高にはなりましたが、天井まで無駄なく収まるサイズにしたことで、中の収納を十分確保することができました」と奥さま。
洗濯機置き場は奥が階段下の空間になっているため、十分な収納力があります。
リビングイン階段にすることで段数を1段増やすことができた階段は、蹴上が低くなり、ゆったりとしています。「正面の壁面に絵を飾るつもりで、スポットライトを設置してもらいました」と奥さま。
階段ホールの窓からの明かりがLDKに差し込むようになり開放感が生まれました。階段の踏板奥行を確保するため、2階の廊下は少し狭くなりました。それに伴い、2階居室の開口位置をずらしました。
階段の手すりは、木目調のアルミ製手すりを採用しています。ブラケットの間隔を長くすることができるため、スッキリとした印象です。
以前の洋室を和室へと変更しました。「ずっと旅館のような雰囲気の和室が欲しいと思っていました。ここは布団を敷いて寝室にしています」と奥さま。以前は大きな出窓でしたが、隣家との距離が近いこともあって、遮光カーテンを閉めていることが多かったそうです。クロゼットの扉は以前のものをそのまま使用しています。
出窓は撤去し、窓のサイズも小さくして、断熱サッシと電動シャッターを設置しています。「隣家との距離が近いので、音の静かな電動シャッターをお願いしました」と奥さま。
クロゼット内部は、ほとんど使用していなかった隣室のクロゼットとの間の壁を取り除き、和室側から使えるようにしました。「収納量が増えて使いやすくなりました」と奥さま。
ベランダを撤去し、和室に洗濯物を干すスペースを設けました。階段の形状が変わったことでできてしまう段差をカウンターにしました。「ものを置くのに案外使いやすいカウンターです。グルニエとの行き来もしやすくなりました」と奥さま。
「洗濯物を干すときの水や畳の日焼けが気になるので、この部分にはフローリングを貼っていただきましたが、和室から続く旅館の広縁のような雰囲気になりました」と奥さま。
見積もりをお願いする際に予算金額をお伝えするのを忘れてしまったのですが、予算内のちょうどよい金額の見積もりをいただいてびっくりしました。その後、プランや仕様の変更もありましたが、最終的に仮住まいや引越しにかかる費用なども含めて予算内に収めることができ、満足しています。リフォーム工事の2年ほど前に足を骨折して、歩行の不自由な一ケ月ほどを過ごしたのですが、その時の経験がこれからの住まいのあり方を考えるにあたってとても役に立ち、リフォームプランにも取り入れました。この先、メンテナンスをしながら安心して暮らしていくことのできる住まいになりました。ありがとうございました。
ご夫婦でこれからの生活を考えたリフォームプランを準備されていたので、プラン打ち合わせはとてもスムーズに進めることができ、明るい、暖かい、動線のとれたプランをご提案することができました。O様に喜んでいただけたことが、なによりも嬉しく思います。