Works
神奈川県横浜市
I様邸
奥さまのお嫁入り道具だったダイニングテーブルとカップボードが印象的な、I様邸のLDK。「ダイニングテーブルは今回磨きなおしてもらって、新品同様になりました。新築後に足を運んでくれた父はこのカップボードを見て、とてもうれしそうでした」と奥さまはおっしゃいます。住み慣れた土地や使い慣れた家具など、家族の歴史を大切にした、これからのご夫婦ふたり暮らしのための新築です。
神奈川県横浜市にお住まいの、I様ご夫婦。
お子さまが独立し、これからふたりでのんびりと暮らしていく家を建てようとお考えになりました。
かつてこの土地には、ご主人のお祖父さま・お祖母さまの暮らす家と、ご両親とご主人の暮らす家が、カーポートを挟んで並んで建っていたそうです。ご結婚後は、同じ横浜市内ご出身の奥さまがご主人のご実家に入られ、ご主人のご両親と同居しての新婚生活が始まりました。その後、転勤で一時実家を離れていた間に、お祖父さま・お祖母さまが逝去され、のちに転勤から戻られたご夫婦は、お祖父さま・お祖母さまが暮らしていた家の一部をリフォームして、お子さまと一緒に20年以上暮らしていらっしゃいました。
その家も気づけば築50年。お子さまはみなさん独立され、ご両親のこともお見送りになりました。「私はずっと仕事中心の生活で、祖父母や両親のこと、家のことは妻に任せきりでした。私たち夫婦はこれまで新築の家に住んだことがなかったので、妻への感謝の気持ちも込めて、家を建てることにしたんです」とご主人はおっしゃいます。そして、建築に際し、ご夫婦ふたりが暮らしていくにはこれまで2棟建っていた土地は管理するにも広すぎるため、分筆して一部を売却することにしたのだそうです。
※分筆:登記簿上で単一の土地を複数に分割して登記し直すこと
細田工務店のことは、土地の売却を依頼した不動産会社さんから「注文住宅なら、得意な工務店がありますよ」と紹介されたそうです。奥さまは「新しい家には当初、露天風呂を作りたいと思っていたんです。露天風呂は、眺めが良くて外からの視線を気にしなくて良いように2階に作らなくては、と考えていたところ、細田さんの分譲住宅で観たモデルハウスはどこも2階に浴室があったので、感激しました。思ったとおりの家が建つのではないか、とその時に思いました。他社の展示場を見て気に入った家もありましたが、細田さんと打ち合わせをしている中で、どんどんとその気に入った家に近づいていったのも嬉しかったです」とおっしゃいます。
「洋風だった祖父母の家は、祖父母がふたりで暮らすにはとてもよい家でした。私たちも気に入っていたところがたくさんあって、例えば2階の寝室に隣接する水が使えるサンルームも、祖父母の家にあった大きなサンルームをイメージしたものなんです。昼間は洗濯物を干せて、夜は月を眺めながらお酒を飲めたらいいなと思って」とご夫婦はおっしゃいます。「祖父母の家には茶室もありましたが、介護でベッドが必要になった時に、フローリング敷きにリフォームしました」とおっしゃる奥さまは、ご自身の介護の経験から、ご夫婦がご高齢になった時には2階の主寝室を中心にコンパクトな動線で暮らすこともできるよう、間取りや設備の工夫をされていました。
今回、リビングでお話を伺っている際に突然激しい雨が降ってきましたが、雨音が聞こえず、庭に面した窓に背を向けていた弊社担当者はそのことに気づきませんでした。そういえば家の前のバス通りを走るバスの音も聞こえませんし、揺れも感じません。その事をI様にお伝えすると、「すごく静かですよ。以前の家ではバスの音も聞こえましたし、揺れも感じました。その違いがとてもよくわかります」とのこと。「気密性同様に断熱性も高く、一度暖まると熱が逃げませんね。リビングに暖炉を設置しようかと考えていましたが、要りませんでした。とても快適です」と、エコサーマルの性能にもご満足いただいているご様子でした。
I様の土地は高台にあり、庭の片側は法面に面しています。「かつて、庭と法面の境には生垣代わりにサツキが植えられていました。建物は2棟でしたが、庭はひと続きで広く、年に2回ほど植木屋さんにも入ってもらっても手入れが大変でした。建物も庭の芝生も新しくなりましたが、芝生の周囲に生えてくる笹や蕗(ふき)、ドクダミなど、昔はあの辺に生えていたなあ、この辺に生えていたなあと、ひとつひとつに馴染みがあります。庭の周囲にはクヌギの木があって、昔も今も、初夏には散った雄花が庭一面に落ちています」とご主人。そんな庭で奥さまは「レモンの木を育ててみようかしら」とお考えになっていらっしゃいました
和風の外観は、奥さまのご希望です。周囲の景観とも良く馴染んでいます。
外観の端正な表情は、道行く人、訪れる人に落ち着いた印象を与えます。
リビングに面した庭側の外観です。庭の反対側は法面(斜面)になっているので、開口部が多くても外からの視線はほとんど気になりません。
「高台で風通しも良く、周囲に樹木も多い場所で、これまでは屋根のないカーポートで車がすぐに汚れてしまっていたため、最初から絶対にビルトインガレージを作ろうと決めていました」とご主人。
「今はまだ、片付いていない引っ越しの荷物を置いているような状態です。ガレージの中に業務用の冷凍庫を置こうと考えていましたが、夫婦ふたりの暮らしではそこまで必要なさそうです」と奥さま。
キッチンの勝手口からガレージへ出入りできるので、雨の日や買い物の多い時はとても便利です。
玄関ドアの前にはスクリーンを設置して、道路からの視線を遮っています。「家の前がバス通りなので、ありがたい提案でした」とご主人。
一部にスリットを入れたスクリーンは、柔らかく視線を遮りつつ玄関に光を取り込みます。
画家のご友人が描かれた絵が印象的な、吹き抜けのある明るい玄関ホール。シューズインクローゼットは、アコーディオンカーテンで目隠し程度に仕切っています。圧迫感もなく、開閉時にドアが邪魔になりません。
シューズインクローゼットの下段にはスーツケースもたくさん収納することができます。
玄関からも廊下からもアプローチできるシューズインクローゼットは使い勝手が広がります。
「壁に立体感が欲しかったのですが、壁面に凹凸をつけるのは大変なので、立体感のあるクロスを選びました」と奥さま。キッチンの壁面にも同じクロスを使用して、LDKの一体感を大事にしています。
リビングとダイニングに合わせてコーディネートされたキッチン。「LD側から見た時に、生活感を感じないようにしたいと思いました。横方向のスリット窓も気に入っています」と奥さま。
「リビングの隣に私の部屋を作って趣味の楽器などを収納しようと考えていましたが、最終的にリビングを広くして、楽器はその一角に置くことにしました。しまい込んでしまうより、よかったと思います」とご主人。
ワインレッドのピアノは、ご主人のお母さまが生前愛用されていたものです。新築にあたり、ご主人は処分もお考えになったそうですが、奥さまの「お義母さんの形見として新しい家に置きたい」とのご希望から専門業者に依頼して新品同様にオーバーホールをされ、今は奥さまが弾いていらっしゃるとのこと。「新しい家宝です」とご主人はおっしゃいます。
リビングには、インナーテラスが隣接しています。
「無垢の床材は営業の黛さんからの提案で採用したのですが、実際に住んでみて大変気に入りました。選んだ色も、家具にぴったりでした」とご主人。
「昔の家のキッチンは広かったのですが、料理中の動線も長くなって大変でした。冷房もなかったので料理中は暑くて。このキッチンは動きやすく涼しく、とても快適です。収納も十分です」と奥さま。コンロの白いトッププレートとピンク色のシンクは、奥さまのこだわりです。
2つ並んでいるキッチンのパントリー。ひとつには買い置きの食品や食器などの収納に、もうひとつは散らばりがちな書類やパンフレットなどの収納にしています。「一か所にまとまって、とても使いやすくなりました」と奥さま。
庭に面したインナーテラスでは、バーベキューを楽しみたいとおっしゃいます。「壁は外壁と同じで、床はタイル張りにしていただいたので、屋外のように使えますね」とご主人。
ミニキッチンも設置しています。「バーベキューの後片付けも簡単にできますし、魚や泥つき野菜の下ごしらえなどにも使えます。思いのほか便利です」と奥さま。
「外から帰ったら、クローゼットにコートをかけて玄関ホールの手洗いカウンターで手を洗って部屋に入る、という習慣になりました。足繁く訪ねてくる孫にも、帰宅したらまず手を洗うよう教えています。ゲストの方も、トイレに入らなくても気兼ねなく手洗いを使っていただけます」と奥さま。自動水栓にもこだわり、木目調のカウンターや扉面材の色は、床やドアに合わせて奥さまがお選びになりました。
1階トイレの壁紙も、奥さまのチョイスです。手洗いカウンターに隣接しているのでトイレ内に手洗いはなく、スッキリしています。
玄関ホールの吹き抜けに面した開放感のある階段室は、窓からたっぷりの光が入り込みます。「照明は細田工務店さんから提案していただいたものですが、ゲストのみなさんからもとても評判がいいんですよ」とご主人。
マスターベッドルームには、サンルームが隣接しています。
マスターベッドルームに洗面カウンターを設置することは、奥さまの強いご希望でした。「顔を洗ってお化粧をして着替えてという準備を、部屋から出ずに済ませることができます。簡単な飲み物を作ることもできますし、とても便利です。カウンターの上にカセットコンロを乗せれば、簡単な料理もできますよ」と奥さま。洗面カウンターの隣には、冷蔵庫があります。
マスターベッドルームのウォークインクローゼットは、隣の和室からも出入りすることができます。「両方の部屋から使えるようにしたのも、工夫のひとつです」とご主人。
ご夫婦の衣類を収納できるよう、十分なスペースを確保しています。「衣替えは引き出しを差し替える程度で、とても楽になりました」と奥さま。
かつてご夫婦が暮らしていた、お祖父さま・お祖母さまの家にあったサンルームをイメージしています。おやすみ前に月を眺めながら、ご夫婦でお酒を楽しむことも。高台なので眺めがよく、周囲からの視線は気になりません。
サンルームには洗濯機と乾燥機を設置しています。「昼間はここに洗濯物を干しています。窓も換気扇もあって、よく乾きますよ。2階に浴室もあるので、1階で洗濯をして2階に持って上がって干す、ということがなく、本当に楽になりました。歳をとって家事などが億劫になってきても、2階の寝室まわりで最低限のことはできるかな、と思っています」と奥さま。
「浴衣や着物を着たりするために、ゆったりとした和室を作りたいと考えていたんです」と奥さま。プランニングを進めて行くうちに、それがいつしか、大の広島カープファンでもある奥さまの趣味のお部屋になりました。
「和室を作ると友人に話したところ、このふすまを教えてくれたんです。引っ越しに備えて持ち物を整理していたら、これまで私が集めた広島カープグッズがたくさん出てきたので、それらの収納もかねて、和室は広島カープの部屋にしようと決めました。この部屋で試合を観ています」と奥さま。たたみを薄いピンクで市松模様にしたのも、奥さまのアイデアです。
網代模様の天井、壁のクロスは、奥さまがお選びになりました。「白っぽいだけの部屋よりアクセントがあるほうがいいと思って」とおっしゃいます。壁には、お祖父さまが所有されていた、奥さまの大好きな馬の絵が飾られています。
奥さまのご希望で、籐のマットを敷きつめた脱衣室。天井、壁のクロスも奥さまがお選びになりました。旅館の脱衣室のような風情があります。
当初、露天風呂にしたいとお考えでしたが「樹木に囲まれているため、思いのほか蚊が多くて断念しました。それでも露天風呂の雰囲気はあきらめず、壁の一面をFIX窓にして、外を眺めながら入浴できるようにしていただきました」と奥さま。夏の暑さに備えて、窓には日よけのブラインドを取り付けています。
2階のトイレも、手洗いカウンターを廊下に設置しています。
トイレ空間は、幅を広くしています。奥さまがお選びになった壁紙と照明が、トイレを可愛く温かみのある空間にまとめています。
新居にいらしたお友だちなどが、みなさん「よい工務店さんとお付き合いできてよかったわね」と言ってくださるので、とても嬉しく思っています。注文住宅だったので決めたり選んだりすることが多くて大変でしたが、一度決めたらその後は迷わないことにしていました。一日中、家のどこにいても居心地がよく、飽きることがありません。完成した家にとても満足しています。どうもありがとうございました。
I様ご夫婦は、ご自身の思い描く家づくりのイメージをお持ちになっており、そのイメージは私たちもワクワクするようなアイデアばかりでした。とても素敵なI様ご夫婦の笑顔を拝見し、喜んでいただける家づくりのお手伝いができたことをとてもうれしく思っています。