湯川博士邸の歴史と再生のビジョン
築90年、歴史ある邸宅の背景
京都市左京区。京都の風情ある街並みが残るこの地に、日本初のノーベル賞受賞者である湯川秀樹博士が晩年を過ごした住まいがあります。築90年を超えるこの住まいは、博士が家族と過ごし、多くの人たちとの交流の場としての役割も果たしてきました。そんな住まいも、幾度となく行われた増改築や経年により老朽化が進む中、この歴史的建造物を保存し、新たな学術交流の場として再生するプロジェクトが始動しました。
設計と建築の協力体制
湯川博士が晩年を過ごされた住居を博士の面影を残しながら、新しい役割を担う邸として、後世に引き継ぐプロジェクトが京都大学の創立125年の記念事業として2021年9月に立ち上がりました。
この事業は世界的な設計家 安藤忠雄氏と長谷工コーポレーションのコラボレーションにより実現し、細田工務店は、このプロジェクトに施工担当として、安井杢工務店※とともに参画しました。
新たな交流の場としてのデザイン
博士が住まわれていた当時の家屋の面影を残しつつ、新たに円形の建物を増築し融合させるという、安藤忠雄氏の斬新なデザインをどのように再現してゆくかが細田工務店と安井杢工務店に課せられた課題でした。
京都市、近隣の方々、保存を望まれる方々。関係される方々の、そして何よりも湯川博士のご家族の想いの糸を一本一本紡ぎ、未来に継承される施設として京都大学へつなぐという使命をもって安藤忠雄建築研究所、長谷工コーポレーション、細田工務店、安井杢工務店は一体となって挑みました。
時を超えた邸宅の新生
歴史ある湯川博士邸が、現代の設計技術と情熱により新たな命を吹き込まれました。過去と未来が交差するこの空間で、次世代の知恵と創造が育まれます。