Works
埼玉県熊谷市
M様邸
都内で高齢のお父さまと同居されているM様。お母さまがご逝去され、お父さまがM様のお住まいへと移られてから、埼玉県にあるご両親のお住まいは7年間ほど空き家になっていました。お二人の娘さんはそれぞれ都内でご家庭をお持ちになっていらっしゃるため、M様はご両親のお住まいをリフォームして、折々に4世代が集うことのできる別荘にしようとお考えになりました。
Q:空き家となっていたご両親のお住まいのリフォームをお考えになった理由は?
M様:この住まいは、定年退職を控えた父が、定年後に母と二人で暮らすために建てたものでした。ここへは二人の娘とともに何度も訪れ、両親とともに多くの時間を過ごしました。二人の娘を出産した際には、母のサポートを受けながらここで一ヶ月ほど滞在したこともあり、家族の思い出がたくさん詰まっています。空き家となって7年ほどが経ち、室内は汚れが目立って庭も荒れていたため、近くにある墓所へお参りに訪れた際にも立ち寄ることができず、残念に思っていました。そこで、思い切ってきれいにして、今はバラバラに暮らす家族が折に触れ集まって過ごせる別荘にしよう、そうすればこの住まいのことを気にかけている父も喜ぶだろうと思いました。
Q:リフォームで重要視されたことは?
娘さん:別荘としての利用ということで一番に考えたのは、この先の20年間はリフォームをしなくてもよいようにしておこうということと、訪れた時にはみんなが安全に、気持ちよく使うことのできる住まいにしておきたいということでした。
Q:具体的にはどのように反映されていますか?
娘さん:住宅設備機器は使い勝手のよさと清掃性のよさを優先して最新のモデルを選び、祖父のためにも室内の段差にはスロープを、廊下や階段には手すりを設置してもらいました。また、台風などの荒天時に遠方で心配せずにすむよう、屋外のカーポートは撤去することにしました。壁や天井のクロスについては、別荘ということで遊びの要素も入れてかなり自由に選びましたが、祖父も母も気に入ってくれました。
Q:リフォームで印象に残っていることはありますか?
M様:洋風建築を好んだ母の希望でデザインされた玄関が、きれいになって甦ったことですね。玄関ホールのシャンデリアに合わせて選んだ、階段のブラケットライトも効果的でした。
娘さん:祖母が選んだ玄関ホールのシャンデリアは私たち家族にとってこの家の象徴のようなもので、これまでもずっと大切にしてきました。新しくする内装は、祖母が好きだったものを生かしながら母と私の好みのものを選び、玄関ドアにも洋風のものを選びました。今回、祖父の好みが反映されている和風の外構には手を付けずにそのまま残しましたが、母と私の趣味がうまく調和して立派な玄関になりました。リフォームされたかつての住まいを訪れる祖父にとって、昔のままの外構が迎えてくれることはとても大切なことのようにも思います。
Q:新しくなったお住まいでお気に入りの場所は?
M様:開放的な印象になったキッチンとダイニングです。以前はキッチンとダイニングに空間の繋がり感がありませんでした。キッチンは経年によって空間全体がくすみ、寒々しく暗い印象になっていた上に、大きな収納キャビネットが並んでいたことで、圧迫感もありました。鏡面のサフランイエローと白のツートーンの扉で、明るく、軽やかなキッチンになりました。
娘さん:キッチンの扉カラーに合わせて、ダイニングのアクセントクロスを黄色にしました。キッチンとダイニングの色を合わせたことで空間に一体感を出すことができたと思います。このクロスは、サンプルを見ながら母をイメージして選んだものですが、イメージ通りの仕上がりに満足しています。
玄関ドアと玄関灯は、洋風の玄関ホールに合わせてコーディネートしました。額縁カバーのボリュームによって、思いのほか重厚感のある玄関になりました。工期の短い、リフォーム用の玄関ドアを採用しています。
二間続きの和室は、畳を新しくし、障子・襖を貼り替えて明るくなりました。以前は掛け軸が掛かっていたという床の間の壁をアクセントクロスにしたことで、和室全体が品よく引き締まりました。
鏡面のサフランイエローと白のツートーン扉がさわやかな印象のキッチン。「トクラスのショールームでこのイエローの扉を見て、とても気に入りました。暗い印象だったキッチンが明るくなりました」とM様。
サフランイエローのキッチン扉に合わせ、背面のクロスには目地が黄色のレンガ調クロスを選びました。ドア枠のない開口部は、ダイニング側のクロスをキッチン側へ巻き込んだことで、煉瓦のモールのような印象になりました。
大柄のアクセントクロスが映えるダイニングルーム。「柔らかい黄色は、私の中の母のイメージなんです」と娘さん。M様は「明るくきれいになったダイニングルームで、家族そろって食事をするのが愉しみです」とおっしゃいます。
足元の安全のために、敷居の段差には段差解消スロープを取り付けました。手すりも設置して、たまに訪れる場所だからこそ、誰もが安全に過ごせるように配慮しました。清掃とワックスがけで、フローリングはピカピカになりました。
2階の廊下へも手すりを取り付けています。天井のダウンライトはLEDライトに交換し、灯数を増やしました。お母さまがお選びになったシャンデリアや装飾が施された手すり、アイボリーの扉なども、清掃によって新築当時の明るさがよみがえりました。
木目の壁パネルは、ロッジ風の浴室でのんびりとバスタイムを愉しみたいとおっしゃるM様のご希望です。高齢のお父さまのために浴室暖房機を、掃除が楽になるように床洗浄機能を付けました。
「長くきれいに使うことができるよう、陶器製のボウルにこだわり、除菌水での清掃ができるものを選びました」と娘さん。グリーンと白のクロスを生かすよう、洗面化粧台は白でまとめています。
床と壁のクロス、設備類を一新して明るくなった、1階トイレ。ニッチ収納は撤去して、おじいさまのために手すりを設置しました。
「クロスは遊びの要素も入れて自由に選びました」と、おっしゃる娘さんがこだわったアクセントクロス。「洗面室はさわやかなグリーンを基調にして、白い花柄のクロスをアクセントにしました。トイレのムーミンのクロスは、姪が喜ぶと思います」と娘さん。
荒れていた庭は、密生していた草や木を刈り取り、傾斜をならして砂利を敷き詰めました。また、安全のためにカーポートの撤去も行いました。「きれいになった様子を見て、こんなに広かったのかと思いました」とM様。
住まいをリフォームしたのは初めてでしたが、間取りが変わらなくてもこんなに印象が変わるものなのかと驚きました。36年前、新築のこの住まいを初めて見た時と同じように感じ、住まいが生き返って呼吸を始めたように思います。この住まいを大切にしてきた両親の思いと、その両親の思いとともにこの住まいを受け継ぎたいという私の気持ちにこたえてくれる形で娘がプロデュースしてくれたリフォームに、完成した様子を見た父もとても喜んでいました。きっと母も喜んでいると思います。先のことはわかりませんが、リタイヤした後にここに戻ってくることもできるという安心感が生まれました。
最新の内装部分(クロス+住設)を娘さん中心でコーディネートしていただきました。和室8畳2部屋の通し間など、30年前の注文住宅の良さと最新のコーディネートが違和感なく、うまく調合した仕上がりになっています。熊谷市は弊社からは遠方ですが、ご指名いただき思い入れの深い住宅のリフォームのお手伝いができたこと、本当にありがとうございました。