PRODUCED BY GROWING CLUB FROM HOSODA CORPORATION

#029ガラスと対話する時間。

なかむら硝子工房

私たちが普段の生活で、ほとんど毎日のように手にしている、ガラス製品。飲み物に合わせて様々な形、色のグラスを持っているという方も多いことでしょう。その中に、自分の手でつくった世界にひとつだけのグラスがあったら、使うたびにちょっとだけ豊かな気持ちになれるかもしれません。

「なかむら硝子工房」中村昌央さん

そんなことを考えながら訪れたのは、東京都中野区にある「なかむら硝子工房」。ここでは、都内では珍しい吹きガラス体験をすることができます。工房を営むのは、ガラス職人歴37年という中村昌央さん。ものづくりの世界に憧れ、ガラス職人の道を選んだのは、ガラスの素材としての面白さに惹かれたからだといいます。

「なかむら硝子工房」中村昌央さん

「ガラスは、まるで生き物のように変化する素材です。完成すればつるりと硬くて、見た目は非常に涼やかです。一方で作る時は、ガラスが『動く』と言うのですが、ドロドロに溶けて千度以上もの高温になります。それを無理やり綺麗に形づくろうとしても絶対にうまくいかなくて、大切なのは『ガラスの声を聴く』こと。手に伝わる吹き竿の感覚、目を凝らして見るガラスの動きなど、自分の体に伝わってくるものを丁寧に感じ取りながら作っています。そんな風に対話するように扱う素材って、ガラス以外になかなかないと思うんです」。

溶けたガラス「なかむら硝子工房」

中村さんの工房で行われている吹きガラスとは、溶解炉の中で溶けたガラスを吹き竿で巻き取り、竿をくるくる回して形を整えながら、竿から息を吹き込み膨らませて、グラスなどの器類を作る製法のこと。中村さんは、季節や日によって異なる温度、湿度、重力など様々な条件を頭に入れ、まさにガラスと対話するように向き合いながら作っているのだそう。そうして手作りされたガラス製品には、大量生産を基本とする工業製品とは一味違う魅力があるといいます。

「なかむら硝子工房」中村昌央さん

「例えばグラスの場合、工業製品は型を使って作られるのが一般的なので、形が均一な反面、やや硬い印象になります。これが手作りの場合は一つひとつ成形していくため、質感が柔らかくなるんです。手に取った時や、飲み口に唇を当てた時、きっとその違いを感じられると思います」。

「なかむら硝子工房」ガラス製品

「なかむら硝子工房」では、中村さんご自身が製作をする傍ら、週の半分は吹きガラス体験や、3ヶ月かけて吹きガラスの基礎を学ぶ教室も開催しています。吹きガラス体験は、吹き竿を一人で持てる5歳くらいのお子さんから参加できるため、ご家族連れに大人気なのだそう。

「なかむら硝子工房」中村昌央さん

「グラスや花瓶など作りたいもののイメージを描いていただき、それを見て相談しながら一緒に製作していきますので、お子さんでも初心者の方でも安心して体験していただけます。身近なガラス製品でも、自分の手で作り上げて完成させたものを見ると、皆さん笑顔でとても嬉しそうにしていらっしゃいます。そんなオリジナルのものが家にひとつあるだけでも、日常が楽しくなるのではないでしょうか」。
これからの季節は、お子さんの夏休みの自由研究としてもぴったりかもしれません。日々を涼やかに彩る、自分だけのガラス製品を作ってみませんか。

なかむら硝子工房で体験!
吹きガラスの作り方

所要時間:約30~40分
料金:1つ4950円~

道具はすべて無料で借りられます。
工房は暑いので、調整しやすく
動きやすい服装がおすすめ。
タオルや水分も持参しましょう。

ゴーグルや手袋は借してくれます!
作りたいもののイメージを描く。作りたいもののイメージを描く。

作りたいもののイメージを描く。

グラス、お皿、小鉢、花瓶などが作れます。
色や気泡を入れたり、取っ手を付けたり、アレンジも可能!※アレンジの一部は追加料金がかかります。

吹き竿にガラスを巻き取り、竿を回しながら形を整える。吹き竿にガラスを巻き取り、竿を回しながら形を整える。

吹き竿にガラスを巻き取り、
竿を回しながら形を整える。

色を入れたい場合は、ここでカラーガラスを付けます。
ドットやマーブル模様にすることができます。

水色と黄色を加えてみました水色と黄色を加えてみました
吹き竿から息を吹き込み、風船のように膨らませる。吹き竿から息を吹き込み、風船のように膨らませる。

吹き竿から息を吹き込み、
風船のように膨らませる。

強めに吹くとガラスが薄くなり、ゆっくり控えめに吹くとぽってり厚みのある形に。
強く吹きすぎると割れてしまうので注意!

2~3を繰り返し、好みの形にする。2~3を繰り返し、好みの形にする。

2~3を繰り返し、好みの形にする。

竿を回す時は、重力との戦い。竿を下に向けると雫型に垂れていくので、
竿を地面と平行にしながら形を調整します。

器の底面を整える。器の底面を整える。

器の底面を整える。

別の竿を底につけて、ガラスを吹き竿から切り離し、上下を反転させる。別の竿を底につけて、ガラスを吹き竿から切り離し、上下を反転させる。

別の竿を底につけて、ガラスを吹き竿から切り離し、上下を反転させる。

吹き竿の穴を広げて、飲み口を調整する。吹き竿の穴を広げて、飲み口を調整する。

吹き竿の穴を広げて、飲み口を調整する。

だいぶ完成が見えてきた!だいぶ完成が見えてきた!
竿から切り離し、器の底面を滑らかにしてから480度の窯に入れてゆっくり冷ます。竿から切り離し、器の底面を滑らかにしてから480度の窯に入れてゆっくり冷ます。

竿から切り離し、器の底面を滑らかにしてから480度の窯に入れてゆっくり冷ます。

そのまま常温で冷ますと急な温度変化でガラスが割れてしまうため、
480度から徐々に温度を下げていき一晩かけて冷ますのだそうです。

竿から切り離し、器の底面を滑らかにしてから480度の窯に入れてゆっくり冷ます。竿から切り離し、器の底面を滑らかにしてから480度の窯に入れてゆっくり冷ます。
完成品は後日取りに行くか、発送をお願いすることもできます!(有料)完成品は後日取りに行くか、発送をお願いすることもできます!(有料)
FROM MR NAKAMURAFROM MR NAKAMURA
FROM MR NAKAMURA
ガラスが生き物のように動くので慌ててしまうか しれませんが ポイントは力を抜くこと 私たち 指示を出しながらサポートしますので リラック して楽しんでみてください もし途中で失敗して やり直しできますので ご安心ください
ガラスが生き物のように動くので慌ててしまう もしれませんが ポイントは力を抜くこと 私た が指示を出しながらサポートしますので リラッ スして楽しんでみてください もし途中で失敗し もやり直しできますので ご安心ください
吹きガラス体験の予約はこちらから
取材協力:なかむら硝子工房

取材協力:なかむら硝子工房

ガラス工場に就職後、独自の製作活動も始め、ベネツィアングラスの技術を学んだこともあるという中村さん。2002年に独立して中野区に工房を構えて以来、都内で個展を開催したり、個人・法人の様々なオーダーに応えるなど精力的に製作を続けていらっしゃいます。手ぶらで参加できる吹きガラス体験は、現在月・土・日曜に実施中。予約はHPにて受け付けています

なかむら硝子工房

ARTICLE