# 006借り手の絶えない住まい。
杉並区S様邸2000年竣工
住まいを資産として考える。近年、そんな視点を お持ちの方が増えてきたように感じます。家を売る、家を買う。住み替える。また、暮らし方においても、現在では家に自分を合わせるのではなく、リフォームやリノベーションなどを施して、自身のライフスタイルの変化や流行、好みに、家を合わせながら暮らすという方も増えています。
Sさんが、2階は住居専用、1階は賃貸用という住居賃貸併用の住まいを建てられたのは17年前のこと。50代の半ばを向かえ、ご夫婦2人での定年後の生活を考えられたのがキッカケだったそうです。
「退職金と年金だけで理想の暮らしを叶えるのは、難しいと考えていたんですよ。日本人の平均寿命から考えれば、妻の方が長生きする可能性が高いですし、老後は賃貸経営が軌道に乗っていればなにかと安心ですよね」とのこと。定年退職までに住宅ローンを完済するという計画のもと、それを実現したSさんのお住まいは、17年の歳月を感じさせないくらいに、とてもすっきりと暮らしておられます。
「とにかく住まいをキレイに保つ、というのは心がけていることですね。ただ、住んでいるだけでなく、人に借りてもらうという以上は商品でもありますから」。
若い頃から忙しく仕事をされてきたSさんにとっては、賃貸事業という仕事が、退職後の生活の大きなハリになっているのかもしれません。Sさんはすらりとした長身で70代とは思えないほど若々しく、趣味も海外旅行とアクティブです。
「もとは転勤で新潟に住んでいた時に、新潟空港に離発着する飛行機の雄大さに魅せられて、写真撮影をはじめたんです。高校生の頃は写真部にいたんですが、何十年ぶりにのめり込みまして、各地でやっている航空ショーを追いかけているうちに海外にも行くようになったんですよ」。
大きなカメラを担いで、アメリカ、ヨーロッパと世界各地へ。航空ショーの開催には広大な敷地が必要なため、観光客の行かないような郊外まで、レンタカーを借りての旅になることも多いのだとか。当然のことながら、その国々で撮影するのは、飛行機の写真ばかりではありません。何気ない街角にハッとして、シャッターを押すことも多いとのこと。その経験が元となって、今では絵画も趣味のひとつに加わったのだそうです。
会社員の頃は7度の転勤を経験したと言うほどの仕事人だったSさんの叶えたかった理想とは、仕事と趣味の両立したライフスタイルだったのかもしれません。