スキップフロアは、開放的な空間づくりができるだけでなく、限られたスペースを最大限に活用できる人気の間取りです。しかし、中には「やめた方がいい」という声も。失敗なくスキップフロアを採り入れるには、あらかじめメリット・デメリットをしっかり把握し、適切な解決策を知っておくことが大切です。
今回は、スキップフロアを採り入れた理想の住まいを実現するために、後悔しやすい理由とその対処法について詳しく紹介します。
スキップフロアとは
スキップフロアは、半階ずつずらしたフロアを短い階段でつないだ間取りのこと。縦の空間を活用して、半地下や中2階・中3階など、高さが異なる複数のフロアを設けるのが特徴です。
壁やドアなどで空間を細かく区切らないため、家全体が広々と感じられ、立体的でおしゃれな印象の住まいに仕上がります。
本当にスキップフロアはやめた方がいい?5つのメリット
縦の空間を有効活用するスキップフロアには、実は数多くのメリットがあることをご存じでしょうか。とくに注目したい6つのメリットについてご紹介します。
1. 開放感が高まる
スキップフロアのある間取りは、段差を利用して空間を仕切るのが特徴です。壁やドアといった仕切りを最小限に抑えることで、視線が遮られず、一体感のある大きな空間をつくれます。
とくに、吹き抜けと組み合わせると、開放感がさらにアップし、実際の帖数以上に広々と感じられる空間に。他の間取りでは味わえない、おしゃれな雰囲気を演出できます。また、無駄なスペースになりやすい廊下を設ける必要がないのも、大きなメリットです。
2. 収納力が上がる
スキップフロアの間取りは、段差や階段部分を使って効率的に収納スペースをつくることができます。天井の高さを1.4m以下にするなどの条件を満たせば、スペースが限られた住まいでも、延床面積に算入されない収納を無理なく増やせるのです。
3. スペースが限られた家と相性がよい
縦方向の空間を効果的に使うため、スペースが限られた家でも部屋数や収納スペースを確保しながら、開放的な空間づくりができます。面積に余裕がない土地でも、広々と感じる家づくりを目指したいときに、スキップフロアは効果的です。
4. 家族とコミュニケーションがとりやすい
壁や扉といった空間の仕切りが少ないため、家族が異なるフロアにいても、お互いの存在をそれとなく感じながら過ごせます。通常の間取りでは、個室にいると誰が何をしているのかがわかりにくいことがあります。とくに、お子様が小さなうちは、不安に感じることも。
ところが、スキップフロアを採用すれば、家族の様子を把握しやすくなり、声がけやコミュニケーションをとりやすい環境をつくれるのです。
5. 遊び心のある間取りになる
高さが異なるフロアを階段でリズミカルにつなぐため、秘密基地のようにワクワクする空間づくりができます。とくに、お子様にとっては、好奇心を刺激する遊び心あふれる楽しい家になるでしょう。
フロアの高さに変化がある表情豊かな住まいは、大人のおしゃれ心もくすぐります。
スキップフロアで後悔しやすい5つの理由と対処法
メリットとデメリットは表裏一体です。メリットとなることが、場合によってはデメリットになることもあります。
スキップフロアには多くのメリットがあるものの、中には「あらかじめ間取りの特徴を把握していなかったために建ててから後悔することになってしまった」という意見も聞かれます。後悔しやすい理由と、それぞれの対処法を知って、家づくりに活かしましょう。
1. 冷暖房効率が悪い
スキップフロアは、吹き抜けと同様に壁や扉などの仕切りが少なく、大きな一つの空間で構成されているため、冷暖房効率が下がりやすくなります。上下のフロア間で温度差が生じやすくなり、夏はなかなか冷えず、冬は肌寒く感じて快適に過ごせなくなってしまうのです。
<対処法>
スキップフロアの家づくりで重要なのは、住まいの基本性能を高め、部屋ごとの温度差をなくすこと。高気密・高断熱な家にすることで、外気温の影響を受けにくくなり、夏涼しく冬あたたかい、一年中快適な室内環境を実現できるのです。
ただし、高気密高断熱住宅を実現するためには実績豊富な住宅会社を選択することが最も大切です。いくら性能の良い断熱材や窓を使っても、施工精度が低いとその性能は活かされないからです。スキップフロアのある家づくりをする際は、高気密高断熱住宅を建て慣れている業者かどうかもよく確認しましょう。
2. 段差が増える
スキップフロアは段差が多いため、上り下りをする回数が増えてしまいます。とくに、高齢者や小さなお子様がいる家庭では、段差を負担に感じたり、転倒リスクに不安を感じたりする可能性があるでしょう。また、住みはじめたときは問題がなくても、段差が多い間取りをバリアフリー化するのは難しいため、体に不自由が生じたり、年を取ったりすると後悔するケースもあります。
<対処法>
不安なく暮らせるように、生活に最低限必要な寝食・水まわりのスペースはワンフロアに集約するのもひとつの手です。スキップフロアに実際に住んでいる方からは、「1.5階にリビングダイニングも設けると、1階へも2階へもアクセスしやすく、結果的に通常の2階建てよりも階段の上り下りがラク」という声もいただきます。
3. 建築費がかかる
一般的な2階建て住宅と比べると、少ない壁で耐震性を確保する必要があるため、建築費が高くなる傾向があります。設計・施工の難易度が上がり、資材が増えることで材料費もかさみ、結果的にトータルの費用が上がってしまうのです。
<対処法>
予算とのバランスをとるためにも、事前にしっかり見積もりを取り、設計・施工内容を十分検討しましょう。
また、スキップフロアは通常の住宅よりも構造が複雑なため、実績が豊富で、設計・施工力が高い会社に依頼することが何よりも重要です。
4. 掃除や家事の手間が増える
階段が多いスキップフロアでは、掃除や家事が面倒に感じてしまうことがあります。階段はお掃除ロボットが使えません。また、洗濯物を各部屋に運ぶのに負担を感じることがあるかもしれません。
<対処法>
掃除がしやすくなるように、掃除機は軽量のコードレスタイプを使うと持ち運びが楽になります。また、家族が共用で使う水まわりは、各居室からアクセスのしやすい位置に設けるのもポイントです。
5. 音やにおいが広がる
間仕切りが少なく、開放的なスキップフロアの間取りは、音やにおいが広がりやすくなります。寝室や、勉強・仕事スペースなど、静かに過ごしたい場所や、においを広げたくない場所には、あらかじめ壁を設けておきましょう。
<対処法>
マイホームの計画段階から部屋の使用シーンをイメージし、キッチンとスキップフロアの位置関係を考慮するなど事前に対策を講じることで、快適な住まいを実現できます。
スキップフロアのある、おしゃれで快適な住まいを実現しよう
スキップフロアは、おしゃれなデザインが注目されがちですが、あらかじめデメリットを確認し、適切な対策を講じることが、快適なスキップフロアの家を実現するための大事なポイントです。
細田工務店は、スキップフロアを採用した注文住宅の実績が多く、ご家族の暮らし方やご要望をしっかりヒアリングしたうえで、将来まで快適に住み続けられるように最適な間取りをご提案しています。また、建てた後も、住宅の性能や快適性を長く維持できるよう長期的な視点で家づくりをサポートしています。スキップフロアを検討されている方や、スキップフロアのある住まいにご興味がある方は、ぜひ一度ご相談ください。