住まいのお手入れガイド

日常生活で必ず接する床。普段のお手入れが床を長くきれいに保ちます。

住まう人が、毎日、立ったり座ったり歩いたり、時には寝転んだりする床は、毎日のお掃除が欠かせませんが、快適な居心地を保つためには、日頃のひと工夫のお手入れが大事です。汚れやシミも、すぐに落としておけば、長く使い続けられことができ、経済的です。

床に脚を伸ばして座る親子:イメージ
床に脚を伸ばして座る親子:イメージ

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床の素材に合ったお手入れ方法を知る

床材には、フローリング、畳、カーペットなど、さまざまな素材があり、素材の特徴に合ったお手入れ方法があり、そのコツを知ることで、床を長くきれいに保つことができます。

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自分でできる日頃のお手入れが大事

どのようなものでも時間が経つと汚れやシミはひどくなります。毎日のお掃除をはじめ、汚れやシミはひどくなる前にまずは自分でこまめなお手入れを心がけてみましょう。

板張り床(フローリング・縁甲板)のお手入れ
ケース1

板張り床(フローリング・縁甲板)のお手入れ

現在、洋室の床としてはもっとも一般的なものです。木材の性質により、水分を吸収・放出する調湿機能がありますが、その際には伸縮も伴うため、乾燥収縮の繰り返しにより、表面の細かいひび、反りやすき間などを生じるおそれがあります。お手入れの際には、なるべく水を使わないようにしましょう。

日常のお手入れ

汚れてしまった時
  • 木質の床材に使用できる、中性もしくは弱アルカリ性の住宅用洗剤を薄めた液で濡らした雑巾を固く絞って汚れを拭き取ります。
  • きれいになったら、水で濡らして固く絞った雑巾で洗剤分を拭き取り、さらに乾いた布で水分を十分に拭き取ります。
ワックス掛け
  • 擦り傷・シミの予防には、定期的なワックス掛けが有効です。転倒防止のため、必ずすべり止め剤入り木質床用ワックス(ニス塗り木質床用、塗装木質床用と表示されたもの)を使用しましょう。
  • ワックスを全体に塗ったら、完全に乾燥するまでは窓を開け、風通しをよくしましょう。
  • 乾燥時間は、力ラッと晴れた日で、冬:1時間、夏:30分程度が目安です。
【これも大事】
シミの原因になる水分を染み込ませない

木質床材の継ぎ目や表面塗装が劣化した部分から水が染み込むと、表面材の割れやはがれが発生します。
水・コーヒー・醤油などをこぼしたら、乾いた雑巾などですぐに拭き取りましょう。

【ご注意】

ワックスは、商品説明書を確認し、適したものを選び、全体に塗る前に目立たない部分に塗って、変色などが起きないことを確認しましょう。
また、ワックス不要の木質フローリング材もありますので、フローリングの仕様・性能を確認しましょう。

畳のお手入れ
ケース2

畳のお手入れ

畳は、日本の気候風土に適した材料で、保温性、調湿性、感触のよさが得られます。一方、直射日光に当てると変色しやすく、吸水性があり、ダニ・力ビが発生しやすい面もあります。そのため、日常のお手入れが重要です。最近では、比較的お手入れが楽なポリスチレンフォームやプラスチック製の畳もあります。

日常のお手入れ

毎日のお掃除
  • 畳の目にはホコリがたまりやすいので、ほうきや掃除機で畳の目に沿って掃除することが、畳を傷めずきれいに保つコツです。
大掃除
  • 年に1回は、晴れた日に畳干しをしましょう。
  • 畳の裏面を日光に当てて、マスクをして軽くたたきホコリを出して、掃除機をかけます。干す場所がない場合は、畳を上げて畳の裏面に風を通すだけでも効果があります。
  • 畳を敷き込む時は、元通りに配置しないとすき間ができたり、上手く収まらない場合がありますので、干す前に目印をつけて同じ位置に戻すようにしましょう。
カビとり
  • 畳にカビが生えるのは湿気が多いためです。カビが生えた場合は、湿気を取るために天気のよい日に畳干しをしましょう。
  • 次に、消毒用アルコールを布に染み込ませカビを拭き取ってから、掃除機で吸い取り、風を通して乾燥させます。
  • カビとりの際には、カビの飛び散りが危険なので、必ずマスクとゴム手袋を身につけましょう。
【これも大事】
シミがついた場合の処理方法

塩素系漂白剤を水で薄めて綿棒でシミ部分に塗ると、数分で脱色されて美しくなります。ただし、濃度が高すぎると畳の青さまで漂白してしまうのでご注意ください。

カーペット床のお手入れ
ケース3

カーペット床のお手入れ

カーペットは毛足の短いものから長いものまで種類が豊富です。
こまめな掃除で、ダニの繁殖を軽減しましょう。掃除がしにくい部屋の隅や家具の後ろは、ダニの住みかになりがちなので気を付けましょう。
天気のよい日は、窓を開け風通しをよくして、余分な湿気を放出し、カビの発生を防止しましょう。

日常のお手入れ

毎日のお掃除
  • 掃除機で毛並みにそって毛足を痛めないように行います。
  • 毛足の長いものは、手で触って色が濃くなる方向にナイロンへアーブラシをかけ、毛足を起こし奥にもぐり込んでいるホコリを浮き上がらせます。
  • その後で、毛並みにそって毛足を寝かす方向に掃除機をかけると、見違えるほど清潔になり、毛足の感触もよくなります。
  • 部分的な汚れは、市販のカーペット用洗剤か住宅用洗剤を薄めたぬるま湯を用い、固絞りの雑巾で、汚れの外側から内側に向けて目なりにたたくようにして拭きます。むやみにこすると汚れが周辺に広がってしまうので気を付けましょう。
簡易クリーニング
  • 全体が薄汚れてきたら、市販のカーペット用洗剤や中性洗剤で簡易クリー二ングを行いましょう。
  • 固く絞った雑巾をおしぼりのように巻いて毛並みに沿ったり逆らったりして拭きます。
  • 雑巾は5~10枚を最初から用意しておき、汚れたら取り替えます。
  • 最後に乾いた布で水気を十分に取り、窓を開けて風通しをよくして乾かします
【これも大事】
家具などによるくぼみの修復

へこんだ部分にスチームアイロンの蒸気を掛けて蒸し、倒れている毛並みの逆から掃除機を数分間あてて起こします。
仕上げに、元の毛並みにそって手でならすと目立たなくなります。この時、直にアイロンをカーペットの上に置かないように気を付けてください。

ビニル系の床のお手入れ
ケース4

ビニル系の床のお手入れ

一般にクッションフロアと呼ばれ、洗面室、トイレ、キッチンなどに多く使われています。

起こりうる不具合
カビ・はがれ

日常のお手入れ

毎日のお掃除
  • 普段のお手入れは、固く絞った雑巾で拭き掃除をします。
  • 汚れが目立つ場合は、お湯で薄めた中性洗剤を使って拭き取った後、水拭きしましょう。
  • 定期的にクッションフロア用のワックスで磨くと、より長持ちします。
自分でできる補修方法
  • 年数が経つとクッションフロアをとめている接着剤が劣化し、隅からはがれてきます。放っておくとはがれの範囲は広がり、足に引っ掛かり転倒するおそれも出てきます。
  • 反り癖がつく前に劣化した接着剤をヘラなどでかき落とし、市販のクッションフロア用接着剤を塗り、半日ほど重石(おもし)をして定着させましょう。
【これも大事】

クッションフロアは、ビニル製のため、鍋、やかん、フライパンなど熱いものを直接置かないようにしましょう。
厚さ2~5mm程度のクッション材を含んでいるため、表面が柔らかく、傷やへこみがつきやすいので、重い物や尖った物を落とさないように注意しましょう。

玄関床(土間)
ケース5

玄関床(土間)

玄関は、屋内と屋外の接点であり、家の顔です。いつもきれいに保ちましょう。
玄関の汚れは、戸外からの土ぼこりや泥が主なものです。庭先やポーチの砂や泥を掃除する、玄関マットを置くなどの工夫をすることが有効です。
また、週に1度はポーチの水洗いをしましょう。

日常のお手入れ

鉄平石・つや消しタイルのお手入れ
  • 土ぼこりを掃き出した後、水洗いし、から拭きします。
  • 月に1度くらいの割合で、油性ワックスをかけ、布でよくすり込み表面の油のつやが消えたら、布を取替え十分にから拭きします。
磁器質タイル
  • 普段は水拭きとから拭きだけで十分です。
  • 汚れのひどい時は、たわしで隅々までこびりついた汚れを落とします。
  • 月に1度くらいの割合で、鉄平石・つや消しタイルと同じ要領で油性ワックスをかけましょう。
補修・交換など
  • 鉄平石、つや消しタイル、磁器質タイルなどの割れた箇所は、随時補修または交換しましょう。
  • また、土間などでコンクリー卜を補修した上に防水塗装や防塵塗装を施しである塗り床は、色落ちや色あせが生じたら塗替えを検討しましょう。
【これも大事】

大理石や御影石などの天然の石は、吸水性が高いので、汚れた水分や油分が染み込むと、石の中に浸透してシミや汚れになってしまいます。
洗面室などの床が大理石貼りの場合は、必ずマットなどで水分を防ぎ、玄関タタキなどで水気のあるものをこぼした場合は、すぐに拭き取ることが大事です。
酸性に弱いので、洗剤を使う場合は中性洗剤を選択し、必ず目立たない場所で試してから使いましょう。

ワンポイントアドバイス

床材にはさまざまな種類のものがありますが、現在もっとも一般的なものが板張り床(フローリング)です。
木材の性質から季節によっても乾燥収縮がおこります。反りやすき間が生じたりわずかな変形による軽微な床鳴りが発生したりすることもありますが、多少のことであれば心配はありません。
お手入れにあたっては、原則はから拭きでお掃除をして、汚れがひどい時には水拭き、それでも落ちない時には洗剤を利用しましょう。
また、お掃除の最後には必ずから拭きで水分を十分に拭き取りましょう。